「介護被保険者証」知ってますか?~マイナンバーカードとの一体化検討中
「健康保険証とマイナンバーカードの一体化」についてはあれこれ意見がかわされつつ、2024年を目処に切り替え予定となっているのは、報道されている通りです。
一方で、「介護被保険者証」も同じようにマイナンバーカードへの一体化が検討され始めています。
ところで、「介護被保険者証」をご存じではないかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
ご存じでないことがあるのも無理がありません。
健康保険証(健康保険被保険者証)は、生まれたばかりの赤ちゃんでも、今はちゃんとひとり一枚届きますが、この「介護被保険者証」はほとんどの人は65歳になっていわゆる介護保険第一号被保険者といわれる立場になってはじめて、送られてくるものなのです。
1.介護保険証(介護保険被保険者証)とは?
もっとも多いケースは、65歳の誕生日を迎える月に住民票のある市町村から送られてくるパターンです。
介護保険は国の制度のため、日本に住んでいるひとには入る入らないの選択肢はありません。
したがって、住民票のある市町村が年齢をもとに作成し、自動的に交付されます。
いつ使うかといえば、介護が必要そうな状況になったとき、まずは要介護認定を申請するところからです。
その後の手続きには、都度、必要になります。
つまり、病院にいくときは健康保険証が必要になるように、介護が必要なときには介護保険証が必要になるわけです。
ですが、病院へは年1回ほどは行っているひとがほとんどだと思いますが、介護保険のお世話になっているひと(要介護・要支援)は、2021年の数字で、65歳以上の18.7%、5人に1人の割合で(下の厚生労働省資料)、病院ほど多くのひとが対象になっているわけではありません。
つまり、介護保険証をもらったはいいけれど、頻繁につかうものではないため、いざ必要となったときにさっと取り出せるのだろうか、という問題があるわけです。
実際、厚生労働省の「第106回社会保障審議会介護保険部会」では、
「通常は要介護認定を受けるのは80とか85になったときなので、15年とか20年ぐらい使われずにいる」
ことが記されています。
こうなると、「介護保険証」を大事にしまいこんでおいて10数年後に探し出すよりも、手持ちの頻繁につかうものと一体化されていたほうが、本人も、もしかしたら手続きをするかもしれない家族も、便利になるのではないでしょうか。
2.介護保険証とマイナンバーカードの一体化イメージ
厚生労働省の「第106回社会保障審議会介護保険部会」では、実際に介護保険証をマイナンバーカードと一体化したときのサービスのイメージを図にしています。
注目すべきは、マイナンバーカードで代替するもののほかに、そもそも介護保険証そのものを使うことが不要なシーンもでてくることです。
たとえば、そもそも65歳になったときに「介護保険証を送付する」ということは不要になります。
これも、65歳人口が多ければ多いほど負担になるので、団塊世代がそろって65歳になった2015年などは市町村も大変だったのではと思います。
また、市町村・ケアマネジャー・介護事業所との連携業務も、「介護情報基盤」をとおすことで不要になるようです。
こうした事務をスリム化していくことで、そこにかかる介護保険料からの費用を減らし、かけるべきところにかけていく、たとえば介護職員の給与に関係するところだったり、しっかり要介護・要支援者の話を聞くところだったりにスポットをあてられるようになったりすることは、将来的にも有効ではないかと思います。
この場合ももちろん、マイナンバーカードを持てないひと、持たないひとへの目配りは必要ですが、健康保険証以上に、家族にとっては使いやすい制度になると思います。
いつ頃実現されるのか、具体的な案が待たれます。