給与デジタル支払いへの進み具合~第172回労働政策審議会労働条件分科会 #0057/1000
今日の厚労省メルマガで紹介されていた「労働政策審議会労働条件分科会」議事録では、「資金移動業者の口座への賃金支払について」の詳細な話し合い内容が紹介されていました。
資金移動業者ってなに?となりそうですが、いわゆるdポイントや楽天ポイントなどです。現在、83社が登録されています。
2022年3月31位現在、資金移動業者として、約80社が金融庁財務局に登録されています。大手ではNTTドコモ、ソフトバンク、楽天、SBI証券、GMO、そしてもちろんPayPay、auペイなどの名前もあります。
これらに直接給与支払をしてチャージできるようにしよう、というのが、「資金移動業者の口座への賃金支払について」です。
日経新聞等では、「ただいま検討中」として課題とともにたまに紹介されていますが、審議は着々と進んでいるようです。
今回の議事録でも、その課題のうち、労働者の同意が必要であることや、対象業者が一定の要件を満たす安定した業者であること等の大前提についてももちろん触れられていました。
今回の議事録のなかで、そこは大事!と思ったのは以下の点です。
「労働者の同意をとる」というけれど、とにかく同意をとればいい、というわけではない。
同意を取るにあたっては、滞留規制(末尾のつけたし参照)や破綻時の保証方法(末尾のつけたし参照)など、「資金移動業の口座が銀行口座と違う」という違いを労働者が正しく理解した上で同意する、という条件が必要では、という点です。
確かに。
金融リテラシーの高低ある労働者に対して、そのあたりをきちんと踏まえておかないと、手数料が減らせて楽だからということだけで導入する企業が出てきかねません。
振込エラーについても、起きた場合は着実に労働者の手に届く代替策をという意見が出ています。
現行の銀行口座振込形式でさえ、口座を作るときに厳密な身分確認が必要とされるにもかかわらず、口座名義不一致などで振込不能照会が、うちのグループ企業だと5000人にひとりはいます。
登録のハードルが低い資金移動業者なら、もっと多くなると想定されます。
給与(賃金)の支払いについては、賃金支払の5原則が労働基準法で定められています。
(1)通貨で
(2)直接労働者に
(3)全額を
(4)毎月1回以上
(5)一定の期日を定めて支払わなければならない
この原則が守られることが担保されるよう課題が解決されたら、資金移動業者をつかったデジタル給与払いが可能になるでしょう。
実現したら、労働者にとっては、選択肢が増えるという喜ばしいことになります。
そのためにも、私たち労働者は自分の金融リテラシーを伸ばしていくことが大事だと思います。
今日、税理士の大河内薫先生が、Voicyでこんなことを仰っていました。
「お金について学ばないことは、犯罪が増えてもいいと思っていることだ。人の命を軽んじていることだ。皆できちんとお金について学ぼう」
https://voicy.jp/channel/660/321132
本当だと思います。
お金や世の中について学んで、その知識をもとに自分の頭できちんと判断できる人が増えれば、法律でがんじがらめに決めることもなく、世の中はもっと自由になると思います。
皆でそんな世の中にしていけるといいですね。
今日はひさびさに友人と飲みで、ジンソーダを2杯飲んだあとの頭なので、能天気な内容かもしれず失礼しました。
《つけたし:滞留規制って?》
資金移動業者の下に送金資金がとどまることにより、資金移動業者の破たん等によって利用者保護が欠けることのないように、資金移動業者の下に送金資金が滞留することを禁止または制約する規制
《つけたし:破綻時の保証方法とは?》
資金移動業者は、利用者から預かった資金と同額以上の額を供託等によって保全する義務を負う(法第43条)。 資金移動業者が万一破綻した場合には、利用者は、財務局の還付手続により、供託等によって保全されている資産から、弁済を受けることができる(法第59条)
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