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世の中のルールの決まりかた① 労働政策審議会議事録をのぞいてみる #0006/1000

1.ニュースで報道される新しいルールはどうやって決まるの?

4/1や10/1になると、新聞やテレビのニュースで、

法律が変わって今日からこうなります

と紹介されるルールがあります。

例えば、今年の4月からは、

配偶者が妊娠した、出産するという話のあった社員には、会社は個別に育児休業という制度があるよ、という説明をし、取るかどうかの確認をとらなければいけない

という新しいルールがはじまります。

こういったルールは、どこで、だれが決めているのでしょう?

独裁者がトップの国であれば、その人の意思でトップダウンで決まることがあるかもしれません。

でも、日本は民主主義国家。

こういったことも、だれかひとりの意思ではなく、専門家を中心に、いろいろ話し合われた結果決まります。

その話し合われる場のひとつとして、

労働政策審議会

というところがあります。

今回はここを少しのぞいてみます。

2.労働政策審議会とはどんな組織?

労働政策審議会は、法律にもとづき設置された組織です。

労働政策にかんする問題について、厚生労働大臣からの依頼をうけて調査し妥当かどうか検討したり、逆に、厚生労働大臣に意見を述べることもできます。

法律を変えよう、という話も、ここで話し合われます。

それだけ重要な組織なので、専門性と公平性が大事になります。

専門性と公平性が保たれるよう、審議会の30名の委員は、専門家10名のほか、対象が労働問題なので相対する立場になる、会社側と社員側からそれぞれ10名ずつとなっています。

例えば、このような感じです。

・専門家(公益代表):大学教授や弁護士等

・会社(使用者代表)側:大企業の取締役社長等

・社員(労働者代表)側:労働組合の執行委員長(トップ)等

「労働問題」とひとくちにいっても、話し合う内容はお給料の話から障害者の働き方、仕事上の病気(労災)の話まで幅広いので、さらに細かな分科会に分かれています。

組織図はこんな感じです。

今回は雇用保険部会についてみてみます。

3.雇用保険分科会で話し合われている内容

2021年、雇用保険分科会は19回開かれています。

開催されない月もあれば、コロナ関係の法律改正について話し合われた11月・12月は2月で8回も開催されています。

その内容は、厚生労働省のホームページに議事録・資料つきで公開されています。

11月・12月のメインのトピックは、2021年年末までだった雇用保険法の臨時特例(新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等)の3月末までの延長についてと、1日あたりの金額をいくらにするか等についてです。

財源はあるか、世の中は助成金を必要としている状況かどうか等がそれぞれの立場からこんなふうに話し合われています。

つまりは、こういった議事録をのぞきにいけば、「これから発表されるルール」について、検討段階から知ることができる、というわけです。

例えば、いま実際に助成金で助かっている会社などは、それが延長されるかどうかの方向性をつかんだうえで対策を考えられるのです。

また、会社の人事担当者は、国から新しい制度が発表されてから内容を理解したり社員向けの資料をつくったりするのは大変ですが、あらかじめ知っておくことで、いちはやく社員にどう伝えるかなどを考えることができます。

議事録は話し言葉がそのままなので、文章量は多いですが理解はしやすくなっています。

関係者は定期的にのぞいておきたいところです。

私も定期的にのぞいて、今後、気になる記事をピックアップしていきたいと思います。

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