転職したいじわり増加、正社員になりたいは減少~2023年若年者雇用実態調査の概況
厚生労働省より、2023年「若年者雇用実態調査」の結果が公表されました。
5人以上の常用労働者を雇用する事業所約17,000カ所と、そこで働く若年労働者(満15~34歳の労働者)約23,000人を対象として調査し、事業所で45.3%、個人で57.6%から回答がありました。
15~34歳の労働者割合は減少(23.7%)、前回の2018年の 27.3%と比べて4人に1人を割り込んでいます。
若年層の人口そのものが少ないためやむを得ない流れですが、その若年層のなかでも、「いつかは正社員」の定型が崩れてきている結果となっています。
1.調査結果のポイント
・労働者に占める若年労働者の割合は低下
・「若年労働者の定着のための対策を行っている」事業所の割合は上昇
・若年労働者の定着のための対策では、「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」 を実施している事業所割合が上昇
・在学していない若年労働者が初めて勤務した会社で現在も働いているか、「勤務している」増加55.5%(2018年50.9%)、「勤務していない」減少42.7%(2018年47.4)
・初めて勤務した会社をやめた理由は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」「人間関係がよくなかった」の順
・今後「転職したいと思っている」若年正社員の割合増加31.2%(2018年:27.6%)
・転職しようと思う理由(複数回答)は「賃金の条件がよい会社にかわりたい」「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」の順
2.正社員以外の人で正社員になりたい人は減少
チェックしておきたいのは、正社員以外の学生ではない若年労働者で、「正社員になりたい」と「正社員以外で働きたい」割合が、拮抗してきていることです。
10年前の調査では、今現在正社員ではない人で、正社員で働きたい人は47.3%、正社員以外で働きたい人は28.7%と、18.6%の開きがありました。
ですが2023年には、正社員で働きたい人は35.7%、正社員以外で働きたい人は32.5%と、正社員のほうが多いものの、その差は3.2%と縮まっています。
学生ではない若年労働者の満足度を見ると、正社員で唯一マイナスなのが「賃金」です。
「賃金」は正社員以外でもポイントは低いですが、かろうじてプラスです。
ここから、正社員は労働時間や働き方に自由が少ないわりに賃金が見合っていないと思っている人が多そうな一方、正社員以外のほうが労働時間と賃金のバランスに妥当感があるのではと推測できます。
若年労働者の定着のための対策としては、「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」をしている事業所が増加しており、ニーズを汲もうとしている動きが見て取れます。
それに合わせて、賃金についても、労働時間が減っても据え置きにするなどの対策が必要となりそうです。