初任給が上がってる!ってどのくらい?引き上げ平均は1万円ごえ〜労務行政研究所調べ
人手不足のいま、人材確保のために新卒の初任給があがり、在籍社員との給与バランスが崩れている、という話をききます。
では、いったい初任給はいくらぐらいあがっているのでしょうか?
1.初任給の引き上げ平均は1万円ごえ
労務行政研究所が東証プライム上場企業152社から得た速報値では、引き上げた場合の平均上昇額は1万3746円という結果がでました。
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000087086.pdf
ここ10年の伸び率を見ると、コロナ禍でいちど沈んだものの、急激な右肩上がりになっています。
初任給を引き上げた会社は、全体の86.8%。
ほとんどの会社が引き上げています。
どの業種もまんべんなく、というよりは、非製造業よりは、製造業の伸びが高い結果になっています。
大学卒・大学院卒修士では、伸び率だけではなく額面も製造業は非製造業を上回っています。
製造業のほうがより人手不足感が強いと言えそうです。
東証プライム上場企業でこれなら、そこまで給与を上げる体力が弱めな中小企業の製造業は、いっそう厳しい状況でしょう。
2.令和の高卒はやはり金の卵
また、大卒よりは高卒のほうが引き上げ率は高く、なんと95.5%と100%に近い数字です。
高卒採用者は令和の「金の卵」だという新聞記事もでていましたが、その流れは続いているようです。
オーバーエデュケーション、過剰教育の問題もあります。
OECD(経済協力開発機構)の「国際成人力調査(PIAAC)」によると、日本人の31.1%が「仕事に必要な学歴や能力・資格より、自分の学歴や能力・資格のほうが高い」と答えたそうです。
それが過剰教育です。
この水準で高卒が求められていくのであれば、今後、4年間の大学教育で過剰教育になるよりも、高卒で未経験が歓迎される職に就き、どんどん現場の経験を積んでいくという道を選ぶ人が、今後増えていきそうです。
さいごに
初任給の引き上げを行なっている会社が90%近い、というのは想定内でしたが、引き上げ額が1万円をこえている、というのは、私にとって想定外でした。
皆さんはいかがでしたか?
大学卒の初任給から比べると、約5%の賃上げです。
5%の賃上げというのは、雇用保険の助成金でも特別扱いされる高い引き上げ率です。
昨年の新卒と今年の新卒とで、スタートに1万円以上の差があるというのは、今後社内の調整が難しさを増します。
後輩にあっさり抜かれがっかりしたことで、より高い給与を求め転職する人が増え、ますます賃上げの機運が高まる。
そんなことも想定し、「人がいなくなる」前提で業務を組み立てることが、今後ますます必要になるでしょう。