年末調整のやり直しを税務署から指示された場合①~扶養是正とは #0121/1000

年末調整は毎年11月から12月にかけて行なうものですが、社員の過去の年末調整のやり直しを、会社が税務署から指示される場合があります。

それを「扶養是正」といいますが、それはほとんどが、やり直しの理由が対象の社員の扶養家族にあるからです。

理由は、おおきくふたつあります。

対象の扶養家族の収入金額が実は社員が申告した金額より多い場合と、扶養の条件にあてはまらない場合です。

結果どうなるかというと、所得税が納めたりなかったということになるので、社員はあらためて会社を通じて追加で納めることになります。

では、具体的にどういうケースが対象となるのか見ていきましょう。

1.扶養家族の収入金額が、社員が申告した金額より多い場合

年末調整では、社員が扶養家族の収入を申告しますが、扶養家族の収入も、1月~12月で見るため、12月の年末調整の時は「みなし」で計算します。

ですので、実際に12月が終わって蓋を開けたら、収入がその扶養家族の範囲を超えてしまっていた、ということも起こりえます。

例えば年収が1095万円以下の人の場合、配偶者については、以下の表の通り、「収入金額」(税金などが引かれる前の支払われた総額)が年間150万以下であれば、38万円の控除(自分の収入から税金の対象として除いてもらえる)がうけられます。

ですが、150万円を超えてしまうと、控除できる金額は36万円となります。

つまり、2万円分ずれが生じます。

所得税の税率が20%の人であれば、ざっくりした計算で4,000円、納めるべき税金を納めたりないということになります。

税務署は、配偶者の収入も、配偶者の職場からの申告データや、配偶者の確定申告によってわかるので、つきあわせてみるとこういったズレが判明することがあります。

これは、配偶者だけではなく、子どもや両親など、他の扶養親族にもあてはまるズレです。

「みなし」がずれてこうなってしまう場合と、家族に内緒で働いている場合などもあります。

扶養是正がきて、専業主婦だと思っていた配偶者が働いていることを知って家族争議になるケースもあります・・・

内緒はやめておきたいものです。

2.扶養の条件にあてはまらない場合

2つめは、扶養の条件にあてはまらない場合です。

たとえば、共働き夫婦が、ふたりとも、同じ子どもを扶養親族として、控除をうけていたケース。

原則として、主たる収入を担うほうが子どもを扶養とするので、片方の親は扶養の条件にあてはまらないことになります。

また、扶養親族にするには、12月31日時点で19歳以上23歳未満または70歳以上という条件がありますが、その年齢条件にあてはまらないケース。

扶養控除の対象となる親族は6親等内の血族および3親等内の姻族と決まっていますがそれにあてはまらないケース、同居が条件なのに、老人ホームなどに移っていて同居していないケースなどがあります。

会社が、市区町村や税務署に昨年の社員の給与について報告するのが1月。
個人が確定申告をするのは2月~3月。
地方税の金額が決まるのが5月。
そして、税務業務が落ち着くそのあたり、7/10頃に税務署職員の異動があります。

そのあたりから、この所得税の扶養是正も始まります。
うちの会社も始まります。
社員にわかりやすく伝えつつ、正しい内容で完了するために、ブログでも所得税の計算についてしっかり振り返りをしていきます。

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