それは治療かマッサージか?~療養費の制度改正 #0075/1000
今日は厚労省メルマガから、今年の10月からますます厳しくなる制度について取り上げます。
皆さんは、足をくじいたり、筋をいためたりして、街中のマッサージ治療院にいったことはありますか?
そこで患部を治療してもらったあと、「どうです、肩もマッサージしましょうか?」と言われて、それは素敵とマッサージを受けたことは?
治療後、かかった費用の3割を払って帰路につく。
実はこれ、NGなんです。
かかった費用の3割ですんでいるのは、健康保険が7割を負担してくれることになるから。
でも、健康保険は、病気やけがの治療にしか使えないことになっています。
・病気ではないけど肩がこってるからマッサージを受けたい
・肌をきれいにしたいからしわ取り手術をしたい
・歯並びをきれいにしたいから歯医者で装置が欲しい
つまり、これらすべて、健康保険の対象外です。
ですので、本人がかかった費用は全額負担しなければいけないことになっています。
ですが、マッサージの施術院としては、安くサービスが提供できるほうがお客様が気軽にきてくれるなと思います。当たり前ですよね。
そしてその安くしたぶんの差額が、健康保険からもらえるなら施術院の懐は痛みません。
つまりは、うまく治療のような体裁を作って、保険診療(健康保険がつかえる診療)ができれば、と考える施術院もあるのです。
実際、とある介護サービスで働いてる友人は、健康保険証を提示すれば、そこの施術院が格安でマッサージをしてくれる、という話をしていました。
この施術院で施術をする人のことを、健康保険的には「柔道整復師」といいます。
健康保険は、この柔道整復師ににらみをきかせてきています。
まずは、その場で本人は3割払えばいいよ、というのはNGとしています。
まずは本人が全額負担する。
そして、治療に必要なものであれば、ちゃんと必要だよという医師の指示をつけて、健康保険に7割分を請求してね、という流れになっているのです。
この、一度自分で立て替えて、健康保険から後払いしてもらう制度を「療養費」といいます。
健康保険証を忘れた時などにも、つかう仕組みです。
この療養費のうち、柔道整復師については、この10月にますます締め付けが厳しくなることになりました。
「施術内容の透明化や患者への情報提供を推進するとともに、業界の健全な発展を図る観点から、明細書の患者への交付を義務化する」というのが、それです。
どんな施術をしたのかの詳細を、患者にちゃんと明細書として渡さなければいけない、ということです。
ひとりでやっているようなごく小規模なところへの配慮はあるとはいえ、ほぼ全部の施術院が対象です。
柔道整復師さんのうち一部の人は、患者との知識の量の差を利用してあれこれうまい手をわけですが、そのたび、そんな一部の柔道整復師さんのためにこうして決まりが複雑になっていきます。
私たち患者側がある程度のルールを知っていたら、こんなイタチごっこのような余計な労力もかけなくてすむのに、と思うことも。
あまりにルールをかいくぐる人が多いと、そのうち、健康保険で柔道整復師さんにかかるのは一切禁止!という困ったことも可能性ゼロではないと思います。
世の中を過ごしやすくするために、皆である程度のルールを知って行ければいいなと思います。