平均給与は460万(平均の罠あり)、女性は20歳代後半がもっとも高収入?~2023年民間給与実態統計調査
国税庁が、民間給与の実態を調べ、税制度や税務行政の運営のための資料とする調査「民間給与実態統計調査」の、2023年版結果が公表されました。
毎年1月中旬から2月末くらいの間で行っている会社も多いのではないかと思います。
給与支払報告書を電子で提出し、かつ、民間給与実態統計調査もオンラインで提出している会社では、給与支払報告書の送信が終わったあとそれを取り込んで出したアレだな、と思う方もいるかもしれません。
アンケート等ではなく、実際に会社の給与支払報告書等の資料をもとにしている調査のため、支払っている給与データとしてはかなりの精度となるもので、国の基幹統計となっています。
1.会社数は減少、従業員は増加
「源泉徴収義務者」とは、会社のことです。
この表をみると、会社数は、2022年と比べ、3.6%減少していることがわかります。
そもそも、2021年までは増加傾向だったのですが、ここ2年は減少傾向です。
人手不足やコロナ時期の融資の返済などで倒産件数が増えているといいますが、民間給与実態統計調査でもそういった傾向がみてとれます。
なお、従業員は、減少する年もありますが、全体としては増加傾向が続いています。
2.500人未満の会社が過半数
1人~499人従業員がいる会社数で、過半数を超えることがグラフからわかります。
従業員(給与所得)送風は約6,000万人なので、その半数以上が、500人未満の会社にいることがわかります。
3.平均給与は460万、ただし平均の罠あり
従業員(給与所得者)の平均給与は460万円(対前年比0.4%増、19,000円の増加)となっています。
ただしこれは平均の罠で、以下、正社員/正社員以外、男性/女性で区分してみると、これだけの違いがあります。
・正社員530万円(同1.3%増)
男性594万円(同1.7%増)
女性413万円(同1.4%増)
・正社員以外202万円(同0.7%増)
男性269万円(同0.7%減)
女性169万円(同1.7%増)
正社員での平均も、男女の100万近い差を隠してしまいます。
また、正社員と正社員以外は、労働時間の差もある前提ではありますが、倍以上の差があります。
これをまとめて「平均給与」とするのは、かなり乱暴だということがわかります。
なお、その乱暴な「平均給与」の近年の推移は、以下のとおりです。
2021年以降は、対前年伸び率がプラスになっていることがわかります。
4.女性でもっとも平均給与が高いのはなんと20歳代後半!
男女差は、年齢階層別でもよくわかります。
以下の図の、薄い色が男性、濃い色が女性です。
男性は、50歳代まで順調に伸びているのがわかりますが、女性は全体としてそれほど差がありません。
また、20歳代ではそこまで差がなかった男女の差が、30歳以降どんどん開いていくのがわかります。
女性でもっとも平均給与が高いのは、なんと、25歳~29歳の353万円です。
女性の30歳代は、正社員でも、出産・育児のライフイベントで育児休業をとったり、育児短時間をしているためそれほど平均給与があがらないのでは、と推測できます。
5.1000万超は男性が女性の8倍。自分の年収もマッピングしてみよう
民間給与実態統計調査には、「給与階級別給与所得者数・構成割合」という資料もあります。
年収を100万円の幅で区切り、それぞれの年収の人が何人、何%くらいいるのかがわかる表です。
これを見ると、年収1000万円を超える人は、2023年で男性で2,491名(8.6%)、女性で300名(1%)、男性が女性の約8倍となっています。
男女の賃金格差の解消は進んでいるとはいっても、まだまだの状況がみてとれます。
また、この表を見れば、自分の年収が全体で何%くらいのところなのかがチェックできます。
見たいような、見たくないような気がしますが、気になる方はぜひ。