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退職金の相場はどんな感じ?

2022年12月22日、東京労働局より「中小企業の退職金事情」が公表されました。

退職金は2年に1回の調査なので、おととしぶりの最新の数字となります。

1.退職金制度の有無

中小企業で退職金制度のある会社は約7割。

ここ前回、前々回とくらべてみると、前回65.9%、前々回71.3%なので、一度減って増えているようにみえます。

ですが前回は調査に回答した企業数の分母が大きかったため、数字がぶれた可能性が高いです。

令和4年
令和2年
平成30年

同じく退職金制度を調査するものとしては、こちらが全国が対象の厚労省「就労条件総合調査結果」があります。
こちらは5年に1度の調査、直近は平成30年です。

これをみると、中小企業、つまり300人未満の会社での退職金制度がある割合は、100人未満で77.6%、100人以上300人未満で84.9%。

東京都の結果よりも数字が大きいのは、東京よりも地方のほうが制度がある会社が多いと考えられます。

就労条件総合調査結果 平成30年

「いまや終身雇用の時代ではない」と、退職金制度への税金優遇をなくそうという動きもあります。

ですが、制度自体はまだ4社中1社くらいの割合であるということがわかります。

では、実際どのくらいの勤続年数で支給されているのでしょうか?

2.退職金の金額

東京労働局の「中小企業の退職金事情」では、退職金金額は実際の支払い額ではなくて、「モデル金額」しかわからない内容となっています。

そのモデル金額をみると、一番低いのが高卒の自己都合退職で90万、一番高いのが大学卒の定年で1,091万円となっています。

モデル退職金
(学校を卒業してすぐに入社した者が普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)

では、実際はどのあたりの支払金額が多いのでしょう?

平成30年の就労条件総合調査ならわかるかと見てみると、勤続20年以上の対象者しか集計されていません。

第19回税制調査会(2022年10月18日)では、多様な働き方を選びやすくする所得税のあり方が議論され、委員からは「控除は勤続年数で差を設けず一律にすべきだ」といった意見が出ています。

実際資料では従業員の平均勤続年数の資料も提示されました。

日本の社員の勤続年数はここ10年でほぼ変わらず、主要各国とくらべても長いことがわかります。

「平均」なので、20年以上の人も多く、2~3年の人も多く、結果としてのこの数字かもしれません。

実際はどのあたりの勤続年数の支給が多いのかなど、退職金制度からの切り口まだまだ検討の余地がありそうです。

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4zen19kai1.pdf

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