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男女の賃金差異の原因は?〜人的資本情報開示にみる
2023年から上場企業に義務付けられた、人的資本情報の開示。
2023年3月期決算の2,456社の有価証券報告書から、正規雇用の男女賃金差異データを東京商工リサーチが抽出し、まとめた結果を公表しました。
有価証券報告書に「正規雇用の男女賃金差異」を記載したのは2,456社のうち1,677社で、賃金差異の平均は71.7%。
女性の賃金が、男性より3割程度低い結果となっています。
賃金差異が大きい会社については、その理由について有価証券報告書等に記載されたコメントも紹介されています。
それによると、男女の賃金差異の原因は、性別差そのものではなく、働き方の差異によることがわかります。
例えば、以下のとおりです。
・女性の正規雇用労働者に占める工場契約社員(無期転換社員)の割合が6割程度と大きい
▶︎時間に融通のきくパート社員として働くケース
・現在在籍している女性の経験年数が比較的短い
▶︎子育てなどで一度退職してから再就職するケース
・女性の幹部社員比率が小さい
▶︎責任が重く労働時間も長くなる傾向にある幹部を避けるケース
・全国転勤のない職種に女性社員が多い
▶︎転勤せず同じところで住み続けたいケース
これらの▶の働き方のケースは、昔は男女の役割分担で語られてきました。
ですがいまは、男性でもそういった働き方を望む人もいるでしょうし、逆に女性でもバリバリ働きたい、と思う人もいるでしょう。
いや、むしろ、男性女性は関係なく、その人がどんな道を希望するかが大事なのではないでしょうか。
賃金差異を記載した上場企業は、入社年次や職位・業務が同じ場合、男女の賃金差はないとしています。
つまりは、男女関係なくひとりひとりが希望に沿った働き方ができるようになれば、男女差異は消える未来は遠くないということです。
結果として、男女の賃金差異が30%近くある、と報道されても、差異があることをダメと頭ごなしに否定するのではなく、その中身をきちんとみて、次のアクションにつなげていけたらと思います。