問題意識のない当事者にはネガティブ・ケイパビリティの力で!~人事図書館イベント「腹を割って産業医と人事の協働を考える」参加
人事図書館の産業医と人事の協働についてのイベントに参加しました
人事にかかわる本がぎっしりあり、人と組織に対して問題意識・課題意識を持っている方があつまる場所、人事図書館にはじめて行ってきました。
以前から気になりながら行けていなかったので、このイベント「腹を割って産業医と人事の協働を考える」をきっかけとしました。
このイベントに決めた理由のひとつは、私自身が自社の産業医の方にもやもやを抱えていたからです。
もやもやの理由は、ふたつ。
メンタル不調から復職し調整していたかつての部下が、産業医の先生に対してちょっと警戒感をもっていたこと、また、私自身深夜労働が続いて産業医面談が必要になったときに、チェックリストにひとつひとつチェックをつけていくだけのような面談に「やる意味あるのかな?」と思ったことです。
今日の産業医おふたりのお話を聞き、そのもやもやがスッキリしました。
そもそも、産業医に何を求めているのか、私たちも、おそらく会社も、あまりきちんと考えていなかったことがもやもやの理由です。
「従業員が50人以上になったから、産業医の先生にお願いしなければならない」という、罰則つきの法的義務のためにお願いしただけ。
何をお願いしたいのかもわからないから、お手頃な料金の産業医の先生にお願いし、とりあえず運用する。
そんなかたちでお願いするのだと、もやもやするのも当然です。
産業医の先生との良い関わり方とは?
本日お話をきいた産業医の先生はおふたりとも、会社側の要望をしっかり聞いてto Cよりもto Bで語れ、かつ、迎合するわけではなく医師として言うべきことは言い、法的に確認が必要な部分については弁護士や社会保険労務士への確認を推奨されるような対応をとられる方々でした。
産業医の先生に会社にかかわってもらうことで働きやすい職場を作りたい、と思う場合は、こんな先生にお願いして、どんどん積極的に相談していけば、一緒により良い方法が考えられそうです。
現在、産業医の資格がある方は10万人。
うち5万人が稼働されているそうですが、臨床やりながら産業医もされている方が多く、専門で産業医をされているかたは1000人~2000人程度ではということ。
会社でお願いしたいことがクリアになれば、この産業医専門の先生を探してお願いするのもひとつの方法です。
「産業医の先生にこんなことをお願いしたら迷惑がられるのでは」というようなこと、たとえば社内報に原稿を書いてもらうようなことも、ダメ元でお願いしたら快く受けてくれる産業医のかたもいるそうです。
産業医の先生を、税理士や社会保険労務士のように「健康に関する士業」と考えれば、もっと気軽に相談できるのでは、という話も出ました。
また、産業医の先生に参加してもらう法的に開催が必要な「安全衛生委員会」も、「ウェルビーイング委員会」など親しみやすい名前に変えて、産業医と一緒にストレスチェックの良いところ探しをしてみるアイデアも。
ストレスチェックの結果は、高ストレス対象者をチェックしたり、良くない結果から共有して悪いもの探しのような雰囲気にするよりも、「良いところ探し」から始めると、自然と良くない結果を良くする方向に話が進むということで、なるほど!と思いました。
人と人との問題は、抽象化すれば非常に有用
私自身が非常に学びになったのは、「大問題を抱えているのに当事者が問題だと全く自覚していない場合の対処方法」です。
たとえば、勤怠管理を全くしておらず、労基署の監査が入ったら大問題になるのに、今困っていないためオオゴトさを感じていない会社を、どうするか。
先生は、「待つのも選択肢のひとつ、ゆっくり外堀を埋めながらだんだん良くなっていくよう促して、リスクを最低限におさえるために準備をおこたらない」という解、ネガティブ・ケイパビリティを示されました。
ここで私のなかで重要なキーワードであるネガティブ・ケイパビリティに出会えると思わなかったので、震えました。
この、あやういのに問題意識がない人への対処方法は、これがいまのところ最適解ではないでしょうか?
たとえばタバコは体に悪いと言ってもまったく動じない人や、お酒をたくさん飲む人などの不摂生から、勉強が必要なのに勉強しない受験生まで、口うるさく騒ぐのではなく、じっくり待ちながら非常な情報等をあつめ、相手の状況が変わったときに備える。
私も社会保険労務士としてこういった状況に直面すると思いますが、相手が問題を認識しいざ対策が必要だと思ったときにはすぐに提示できるよう、しっかり準備をしておこうと思います。
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