雪になれない雨の音。
雨の音。窓の外で雨が降ります。
久しぶりに聴くその音は夏の最中に聴くその音とはまるで別物。
ちゃんと屋根を叩く音が聴こえる。
雪になれない雨の音。
眠りにつく少し前
布団の中で窓の外の雨音に耳を傾け
ひたひたと喜びを感じた。
ちゃんと春に向かっている。
冬が嫌いなわけではなく
雪が嫌いなわけでもなく
でも湧き上がる春への期待。
別れの季節。
苦手だった春を
いつから待つようになったのだろう。
四つの季節。
季節が移ろおうとする、その時期にだけ
感じられるもの。
次の季節の気配。
なに、とは言えなくて
ただ気温がどうのとか
そういうことだけではないなにか。
あれは確かに気配なのだ。
朝晩はまだまだ冷え込む。
昼間の春の気配に胸が躍って
少し春を夢見たけれど
夜になれば冷え込む空気に負けて
またストーブの温度を上げる。
今ここに毎日居座るこの冬も
また来年。
と去ってゆく。
残りの冬が、ちゃんと背中を向けるまで
ちゃんと感じて味わおう。