突然舞い降りてきた水俣


12月はじめ、熊本出張した際に街の本屋で「水俣 天地への祈り」という田口ランディさんの著作に出合った。
宿に帰って早速、読み始めると、心臓がばくばくしてきた。
なんなんだこれは?
ランディさんが、水俣病患者のおひとり杉本栄子さんに話しを聞いている箇所だ。
患者である杉本さんの言葉のひとつひとつが私の心を震わせておんおん泣いていた。
家族の病気、死、自身の発病、裁判闘争、信じられないような差別、もがき苦しみ、葛藤を超えてきた杉本さんは私には想像できない体験をされているのに、ひとつひとつの言葉が神やダライラマ法王のように超越しているのだ。

確か1995年位に東京で水俣展が開催され、その時に展示会に行って衝撃を受けたのだ。その時の私はことの大きさをうけとめきれずに何をしていいかわからず、そのまま封印していたんだ。と、今回の自分の反応からそう思った。
忘れていたパンドラの箱が開かれたような気がした。

本を半分ほど読んで、ひとしきり泣いて、明日水俣へ行こうと決めた。
何のために?何をしにもなく、とにかく行こう。と。
この魂が揺さぶられた、それに従っていく。
ただそれだけ。
続く。

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