クラブ・スーサイド 舞渕明陽(まぶち めいよう)シナリオの感想。
プレイし終えた翌日に書いています。
※mb=舞渕明陽
mbのシナリオは彼の核?後にアイデンティティとなる、綺麗と汚い、光と闇、黒と白という言葉が多く出てくる。
彼は物事を良い悪いで判断するとき、綺麗なあなた(プレイヤー)、汚い僕の様に、綺麗か汚いかの尺度で判断する。尺度と言うと、綺麗と汚いの中間みたいな曖昧な表現になってしまうから尺度というか、綺麗か汚いかの白黒(0,100)思考である。
途中、主人公に叱られた曖昧な表現でこちらに質問してくるのに、根底では白黒はっきりさせたい彼。そんな本性を悟らせないための伊達メガネ。そのがガラスのベールが剥がれたデートでは、彼のそう思うようになった過去を素直に主人公に吐露してくれた。教えてくれてありがとう。(実際顕著になっているのかを確かめるためにもう一度プレイして確かめたい。)
物語が進むにつれて、上記3組(綺麗と汚い、光と闇、白と黒)を並べても重ならなくなる。中盤に枢木と右睡とファミレスに行き、主人公がmbのことがわからないと告白するシーンでは、光と闇はどちらが悪ではなく、表裏一体であり、闇を知っているからこそ人の痛みを理解でき、寄り添えるとアドバイスをもらえるた。これにより最終シーンで生と死どちらを選んでも主人公の言葉の説得力が増したため、このシーンはほのぼのに見えるが結構重要なのではないか?と考えた。
(ちなみに選択肢にあった、枢木も右睡も私からしたらmbとの共通点は感じられなかったため、主人公…相談相手間違ってない?と思いながらプレイしてた。)
以下プレイ直後のツイート
綺麗が光で、汚いが闇というわけではなさそうだ…。(以上)
彼自身も表裏一体であることを受け入れている。そう思ったのは、生存ハピエンで、mbは自身を受け入れが、自身をを黒百合、主人公を白百合と称しているからである。このエンドでは、自身をお綺麗な存在と認め黒百合と表現していることから、黒=汚いと思っていなさそうと感じた。
このシーンでの良いポイントは、考え方が確かに変わったが、彼のアイデンティは残っていることがわかるところにある。
自身を受け入れたにも関わらず、渋谷デートのエンドでは「綺麗なあなたの意見が聞きたい。」と言っていることから、完全に白黒思考が無くなった訳では無いことを表している。
彼の考え方変わっても、価値観となる綺麗か汚いかという物事の尺度が無くなっていないので、彼のアイデンティティの獲得という思春期の心理的課題の乗り越えを表していているのではないかと感じさせてくれる。作者思春期の心理を捉えるのが上手すぎなのである…
生存ハピエンでは、mb目線で物語が進むときは黒百合が自称として使われており、白百合が主人公を表している。なんてオシャレなんだ…厨二心くすぐられる。てか綺麗すぎるだろ。
mb目線で書かれている時に多用されてる言葉なことから、ハピエンでは自分を綺麗なものとして受け入れられたということなのかな?でも、綺麗汚いで物事を考える彼の価値観が変わっていないのが、綺麗なあなたの考えを聞かせてというセリフや、渋谷デートでは綺麗だと言い続けている女性の姿になっていることから伺えて、あくまでも生きるための希望をもてた上で価値観となるキレイ汚いは残っててとてもいいエンドだった。
温泉エンドではmbにメロメロな私からしたらご褒美タイムでしかなかった。結婚?結婚なのか?実家に挨拶って…オタクくん大歓喜!リアコになっちゃうよーえーん。
黒百合は白百合の養分を吸って生きるという表現がシナリオ内に出てきており、mbが主人公に依存しないと生きていけないことを示唆している気がして、ヤンデレや依存ものが好きなもれの性癖に刺さってかなりいい。
ここまではハピエンの感想。
ここからバドエン(デスエンド)
デスエンドでは①公衆便所で自殺するものと、②父親の前で自殺し自らが呪いとなる2種類がある。
見た順で感想を書こうと思う。
①このエンドでは、卒業式が終わった後、公園の公衆便所で自殺しようとするシーンから始まる。
最初はmbが自己に注目しており、自殺への恐怖から、自殺を躊躇う。その後鏡をみて自分の姿を三者からの視点で捉えることで自分の中にある憎悪が溢れ出し、何度も自分を滅多刺しにする。後日公園で惨殺したいが見つかった…という締めくくりである。
公衆便所という汚い場所で死ぬということは自分を汚いものとして捉えているため、そこを死に場所として選んだのであろう。そのため、主人公が最後に残した自分を綺麗なものとして受け入れられていないと思う…というテキストに共感した。
そして、自殺を躊躇っていたのに鏡をみて、目的(自殺)を思い出すのは狂気的ながらも、当初の目的を思い出すという冷静さを感じる。エンド冒頭ではトイレの雰囲気や匂いを詳しく書くことで、トイレの汚さを明確に(?)プレイヤーに感じさせ、mb自身が汚い存在であると思い込んでいることがより分かりやすい表現となっている。また、クラブに集まったときよりも自身への嫌悪感が高まっていることも感情が溢れている様子から感じられるようになっており、ラストにかけての疾走感が気持ちの良い気持ち悪さであった。
②では、家に帰ってから憎しみの源である父親に、お前のような人間になりたくない!と主人公に吐露した思いを伝えながら、①と同じように自身を滅多刺しにして死ぬ。こちらは、①とは異なり、家に帰った時点で決意が固まっており、ためらうことなく滅多刺しにしており恨んでいる父親に復讐するという強い思いから、恐怖を感じることなく、ヤケクソとも受け取れるような死に様であった。恨みって怖い。
帰るまでの道で自殺を思い留まることなく、時たま、死ぬのか?本当になんて、冷静になることもあったのかな〜なんて思った。でもやっぱ、決意を家に着くまでに固めたゆえの結果だよな〜…苦しい。あなた下校中どんなこと考えてたの?教えて…
最後に生存バドエン。
生存バドエンってなんだよ!生きることは素晴らしいだろ…と思っていた。プレイまでは。しかし、このルートのmbは自己のアイデンティティに疑念を抱き、自己飽和(?)を起こす。
自分が分からなくなったことにより、失踪して終わってしまう。正直このエンドはモヤモヤした。生か死のどちらとも取れるような曖昧な選択をした結果、+にも-にもなれなかった答えが出なかった0のエンドなのだろうと思った。ある意味罰ゲーム的感覚に近い。幸せになってくれよ〜頼むよ〜。