ABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」で『泣ける日本史』(文響社)について語ったら、割とパニックになった話
関西出身の私。地元のラジオから声がかかったのは、嬉しかったなあ。
11月25日、朝の8時からABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」に出演した。テーマは新刊『泣ける日本史』(文響社)についてである。
こうしたメディア出演依頼が、どんなふうに著者に来るのか。また、本人はどんな面持ちで、収録に臨んでいるのか。意外と情報発信されていないように思うので、書いてみたいと思う。
出演依頼はある日、突然に
本を出すと、メディアへの出演依頼が舞い込んでくることがある。
ルートは2つ。著者に直接、出演依頼が来るか、出版社経由で来るか、だ。私の場合は、連絡先を公開しているため、直接来ることも少なくないが、今回は文響社の担当、曽我さん宛てにに来たのであった。
「ラジオの出演依頼がきました!」
と曽我さんから連絡が。さっそく日時を確認。よし、リモートならいける。
「その日なら大丈夫ですよー」
そんなやりとりを得て、大体は著者の連絡先を先方に伝えてもらい、直接やりとりが始まるのだが、今回は曽我さんがマネジャーのごとく、動いてくれる……。
「zoomで大丈夫ですか?」
「番組の内容を確認しています!また連絡しますね!」
楽ちんではあるが何だか悪いので「あとは直接やりますよー!」というと、「そういうものなのですね!なんかすみません!」と、今回がメディア対応は初めてとのことだ。なるほど、確かに、どこまで編集者がやるかは、人によって違うし、曖昧なところがあるよなあ。
それに、私もこれまで本をいろいろと出してはいるが、メディアからの引き合いが特にないものが圧倒的に多い。メディアで紹介されるかどうかと、売れ行きは必ずしも比例しなかったりもする。ともあれ、『泣ける日本史』が、そういう依頼が来るような本となり、よかった。なにしろ、新刊が露出する期間は、意外と短い。知られないまま、返本されることは、できるだけ避けたいものだ。
そんな『泣ける日本史』の制作秘話は、担当の曽我さんが答えたインタビュー記事を参照されたし!
その後は、ABC放送の制作の方とやりとりをスタート。かなり本格的に取り上げてくれるようだ。送られてきた台本を確認しているうちに、何だか緊張してきたぞ……。
著者は本に書いた内容を話せて当たり前?
本を書くと、当然その内容について、著者はよどみなく語り出すという印象がある。
現に、私も編集記者時代、著者に本の内容をインタビューするときは「書いてある内容ならば、どんなことでも話せるのだろう」と思っていた。だが、実際は、必ずしもそうではなかった。本の内容を著者が話せない、という場面がたびたびあった。
やっぱり、「書く」ことと「話す」ことは別だからな……。私もインタビューを受ける側になって、そのことを実感。少なくとも、軽く読み直しはしておかないと、私の場合は、意外と言葉に詰まってしまうことがある。
相手が「あれ?」となるのは、避けたいし……。というわけで、今回も台本をしっかり把握して、シミュレーションをしておく。
だが、しかし、である。この台本はあくまでも仮だ。どこまで、台本に沿うかは番組によっても全く違う。ほとんど台本を無視するラジオ番組もある。そうなると、結局は、ぶっつけ本番の要素が避けられないのだった。どきどき。
渋沢栄一と長七郎の物語からスタート
さて、いよいよ本番。
パーソナリティーの道上洋三さんが病気療養のため休演とのことで、朝日放送アナウンサーの横山太一さんが代役を務めた。横山さんとアシスタントのいがらしあみさんと話しているうちに、その柔らかな雰囲気で、だいぶ緊張がほぐれていく。まずは渋沢栄一について語る。
『泣ける日本史』では、長七郎とのエピソードを書いたので、2人に何があったのかを話した。幸い、東洋経済オンラインで、渋沢栄一のことは連載していたので、スムーズに話すことができた。連載で何度も書くことで、人物への感情移入も強くなる
徳川慶喜や大久保利通についても、どこかで語りたいなと思う。
真田家のストーリーは本とはやや違う語り口で
しかし、今回の『泣ける日本史』は、私にとって初めて挑戦した物語でもある。史料に基づいた内容ではあるが、ストーリーになっているため、中身を紹介するということは「人物伝を語る」ことにほかならない。
いやあ、これがなかなか難しかった……。やはり解説とはまたちょっと違うなと。
渋沢栄一に続いて、戦国時代における真田家の物語についても語った。生き残るために、家族があえて離れ離れになるという「犬伏の別れ」を、昌幸、信幸、幸村とそれぞれの立場になりながら、話を展開していく。
実は『泣ける日本史』では、真田家の話は唯一、ユーモアを交えて書いた。いわゆる「泣き笑い」を目指したのだが、ラジオで話すときはユーモアの要素は入れなかった。悲しいかな、ちょっと話術が追いつかないなと、瞬時に判断したのであった。
ややパニックになった吉田松陰の話
「いやあ……ずっと聞いていたいお話ですね…」という、お二人の嬉しい言葉に内心、大いに喜んだ私。よし、この調子で……と思いきや、横山アナが『泣ける日本史』を観ながら、思わぬ質問を投げかけてきた。
横山アナ「どの方の話をリクエストしても大丈夫ですか?」
え、うそ。『泣ける日本史』には、19人の歴史人物の物語が綴られいてる。
真山「はい、もちろんです(うお!まじか!誰で来る!?)」
横山アナ「じゃあ……吉田松陰でお願いします」
真山「……わかりました(よし、吉田松陰なら大丈夫!)」
吉田松陰については、この本以外でも書いている。比較的、話しやすいだろうとほっとした。
しかし、話し始めて気づいたのだが、『泣ける日本史』では、吉田松陰の物語に、ある仕掛けがしてある。最後に、ネタ晴らしがあるような構造になっているのだ。えー、ということは、話すときに気をつけないとな……。
なんて考えていると、なんだか緊張してきて、やや、しどろもどろに。おおっと、これ大丈夫かな。不安になりながらも、なるべく情感を込める。ヒヤヒヤしながらも、なんとか吉田松陰のストーリーを語り切った。
ふう。あとは、今後の展開についてなどについて、語るのみ。次作として『泣ける世界史』『泣ける幕末史』につなげたい、と抱負を語った。
そんなわけで、私の胸中はいろいろとざわめいたものの、終始穏やかな雰囲気で「これぞABC!」という感じがした。なんだか久々に関西に帰省したような気持ちにすらなったのだった。
放送後の嬉しい反響!なんと書店にも……
メディアに出演したあとは、どうしても反応が気になる。SNSで検索して、いろいろと漁ったところ、嬉しい反応がちらほら。
そして放送から数日後、なんと、書店員さんのツイートで、こんな問い合わせがあったことが判明する。
「ラジオで聞いた『悲しすぎる日本史』という、真山なんとかさんが書いた本はありますか……?」
ああ、タイトルが違う! しかし、書店員さんは「日本史 真山」に絞って、「泣ける日本史 教科書に残らないけど心に残る歴史」にたどりつき、ご案内してくれたという……。嬉しいなあ。
そんなこんなで、いろいろと楽しめたラジオ出演だった。笠間書院から『偉人名言迷言事典』を出した時も、随分とメディアからの引きがあった。今回はどうだろう。とりあえず「語り」の練習はして、備えておきたい。
というわけで、早速、voicyにて、吉田松陰について、もう一度話してみた。リスナーを練習台に使ってしまい、すみません……。はからずも、再生回数が、これまで一番多い回となった。なんでもやってみるものである。
毎日新聞にも広告が出て、徐々に広まってきている、共感の偉人伝、『泣ける日本史』。年末年始、久々の帰省のお供にでも、ぜひご一読いただければ嬉しく思う。
▼11/29(月)毎日新聞の朝刊にて
▼紀伊國屋書店新宿本店
▼三省堂書店神保町本店
▼Amazon
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(了)
※ここまで読んでくれたあなたに幸あれ!
「偉人」や「名言」「歴史」にまつわる執筆多数。 【メール】 mayama.tomoyuki(at)gmail.com ※ (at) は @ に置き換えて下さい