女の子だったわたしから娘へ、これだけは伝えたかったこと
休校の影響か、中高生の妊娠相談が増えているという。なんてこった!!
中学生の娘を持つ親としてはほんとうに、他人事ではない。そして何よりひとりの女性として、切ない。
「中高生で望まぬ妊娠」これは、わたしたちの課題
中高生で妊娠、そう聞いて当事者の女の子を「だらしがない」という人も世の中にはいるだろう。むしろひと昔前なら、当たり前の感覚?
でも。
いや、いや、いや。ちがうんだよ。とわたしは声を大にして言いたい。わたしも40代になって、10代の娘を持つ身になったから、声を大にして言います。
これはわたしたち、大人の問題なんだよ。と。
ちなみに、親の管理が甘いからでしょ、という問題ではありません。
女の子が望まない妊娠をする、その背景にはきっといろんな要因がある。家庭環境、経済格差、交友関係、そういうことが複雑に絡み合っていることだって、あるかもしれない。でも、そんなこと関係なく、どんな女の子にだって起こりうることなんだよ。
だって、何より、知識が足りないから。
わたしたち大人が、女の子に正しい知識を、分けてあげられていないんだ。
伝えるのは、全然難しいことじゃないのに。
これって、すごく悔しいことじゃない?
わたしのなかの女の子も、悔しくて怒ってる
わたしは9歳の夏休み、家の前の道で遊んでいて、知らない男の人にものかげに引っ張り込まれたことがある。キスされて、服をめくりあげられた。男がズボンのベルトを外そうとしている間に、逃げ出した。
笑っちゃうのは、その後しばらく、万が一にもキスで赤ちゃんができたらどうしよう。と本気で悩んだことだ。男に会ったことは、誰にも言えなかった。
10歳、11歳。図書館で、本屋さんで、痴漢にあった。おしりにぐいぐいと当たるのがなんなのか分からず、狭い通路なのに、誰かが無理に通ろうとしているのかな?なんてのんきに考えていた。振り向くと、知らない男が立っていた。
12歳。卒業式の日に、一番信頼していた先生に、人気のない部屋に呼び出され、体を触られた。先生は「服装がちがうと大人っぽいね」「感じる?」と荒い声で言った。
12歳。そのときわたしは、先生の手をつかんでどかし、「こんなことをすると、つかまるよ」と言って、部屋を出た。拒絶することができたのは、自分がそういう対象になることがあるという、知識があったからだったかもしれない。でも、怖かった。悔しかった。恥ずかしかった。
だから女の子に、きちんと伝えたいんだ。伝えてほしいんだ。
痴漢や不審者の問題というのは、決して女の子だけの問題ではないので、いまどきは子どもの男女問わず、「知らない人についていかないで」と言いきかせると思う。わたしも繰り返し子どもに声をかけてきた。
声をかけるたびに、心のなかで思う。「たとえついて行ってしまっても、あなたが悪いんではないのよ」
ときどき言葉で伝える。「もしこわいと思う人に会っても、あなたが悪いんじゃないからね」
これって、言葉にしないと伝わりにくいことじゃない?
少なくとも子どものころのわたしは、ああ、親からダメっていわれていたトラブルに遭遇しちゃったダメなわたし、と勝手にダメージを受けていた。
痴漢とか不審者の話が混ざってしまうと、中高生の望まない妊娠は、自分の行動の結果で、別の話でしょ、と思うかもしれない。自分の行動に責任が伴うっていうのは、もちろん大事なことだけれど、でも、子どものせいだけにしていいのかな?
だって、きっと地図を持たずに新しい世界へ踏み出してみたら、橋があるのに気がつかなくって川を泳いで渡ろうとしちゃったとか、そういうのと同じなんじゃないの?
性についてはきっとどこかで覚えてくるんだろうな、うちの子はきっと大丈夫なはずって気持ちでいるのは、泳ぎを教えずに海に送り出すのと同じなんじゃないのかな、とわたしは思う。
わたし、掃除が苦手で部屋はいつも散らかってるし、外出自粛で家にいるのに、お昼ご飯にカップラーメン出したりすることもある。教育とか習い事とかのサポートも、正直ぜんぜんできてない。
でも、これだけはと娘が13歳かそこらのころに、意を決して伝えたことがあるんだ。
ぜんぜん、上手には伝えられなかった。グダグダだったよ。
でも、ポイントだけ抑えられたら、100点満点のプレゼンじゃなくたっていいじゃん。恥をさらして、わたしが娘に伝えたことをここに記します。
わたしたちだって親から教わってないし、とかためらっていないで、伝えていこうよ。
その1 セックスは悪いことではない。でも、イヤなときはイヤだと言える相手がいいね。
好きな人ができたら、その人ともっとくっつきたい。と思うよね。ドキドキしちゃうけど、それは自然なことで、ステキなこと。
でも、たとえ好き同士でも、手をつなぎたい、チューをしたい、もっとくっつきたい。そう思うタイミングは違うかもしれない。相手が体にさわりたいといっても、自分がイヤだと思ったら、イヤだといっていいんだよ。
その2 セックスをすると赤ちゃんができるかもしれないんだ。
あなたがもっと大人になって、好きな人ができたら、いつも一緒にいたい、体をくっつけていたい、そう思うかもしれない。それは自然なことだし、悪いことではないんだ。
でも、中学生だったり高校生だったりしたら、ちょっと早いかな?って正直思う。なんでかって言うと、セックスをすると赤ちゃんができることもあるのね。
もしも高校生だったら?大学生だって、育てられるかな?
将来の夢だってあるよね。
「妊娠しちゃったかもしれない、どうしよう」そんなふうに悩んだり苦しんだりすることになるかもしれない。
お腹に赤ちゃんがいるって、本当はとっても特別な体験だから、できれば「赤ちゃんができた、うれしい!」って思えるときだったらいいなって思う。
避妊っていって、セックスをするときに赤ちゃんができないようにする方法もあるのね。
あなたに好きな人ができたら、ちゃんと教えてあげるからね。だから彼ができたら、教えてね。
ところでセックスって、知ってる…?
伝えるタイミングって、難しいですよね。
でも、小学校の高学年で一通り性教育を受けたら、あまりタイミングを待ちすぎなくてもいいんじゃないかなって思います。家庭で話しやすい雰囲気にしておくことも大事と思うから。
わたしは娘が初潮を迎えて、体つきが大人の女性らしさを増してきたころ、まだ男の子には全然興味がなさそうだったけれども、二人だけになった時間を見計らって、「あなたに話しておきたいことがあるんだ」と切り出してみました。
娘は、うん、うん、と受け止めてくれた。
彼氏ができてからだと、うざがられそうだから、早めでよかったかもしれない。
でもね、娘にセックスって口にするのはかなり、結構、勇気がいることだったかも!!
うまく話せなくて、「セックスって知ってる…?」と聞いたら、「知らない」って答えが返ってきて、まごまごもしちゃいました!
「え」
えーだって、「コウノドリ」はドラマも原作も、ばっちりついてきてるじゃーん(と心の叫び)
「いや、なんとなくしか、知らない」
なるほど、なんとなく、そうかもね。
で、「好きな人とくっつきたくなったらね」って…われながら情けないけど。
でも、大事なことだから、がんばって伝えたかったんだ。女の子だったわたしから、あなたへ。
できたら女の子だったあなたからも、伝えてほしいんだ。見守っているからねって、あなたの近くにいる女の子へ。
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