ショートショート「空の布のハスカップ」
社長が「食べ飽きた」と言うので、有り難くいただいた金曜日のご褒美デザート、空の布のハスカップ。
なんたって空の布に包まれている。普通のハスカップは野ざらしで、固くてすっぱい。でも空の布に包まれたハスカップは、布の天気で味が全然違う、らしい。
晴れだったら香り高く。雨だったら、しっとりと。
夏だったら甘く熟れ、冬は冷たく凍る。
ここ数日の酷暑で、きっと甘く、それはそれは甘美に熟れているはずだ。
わたしはワクワクしながら自分の部屋に入る。
あまりにムッとした暑さに窓を開け、扇風機を回す。
ドーン!
ちょうどその時、河川敷の花火大会が始まった。
ドーン!!
大きな花火が、空に咲く。
ドーン!!!
そう、ハスカップの、大きな花火が部屋中に…。
ショートショート作家、田丸雅智先生の"誰でも物語が書けるショートショートの書き方講座"にて作成した作品です。
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