苦しみ / 多様性(朝井リョウ『正欲』)*19
朝井リョウさんによる『正欲』から2つのことばを引用します。
これから読もうと思っている方は、この投稿を見ないことをお勧めします。私は、あらすじを読まずに、この本を読み始めました。何も知らなかったからこそ、(読了後に)面白いと感じた部分があったからです。ひとつひとつの言葉が重い。その中でも、強く心に響いたことばを引用してきました。私は本をたくさん読んでいるほうだと思うけど、今までに全くみたことない世界を教えてくれた本。
(ネタバレを避けるための空白)
①特殊性癖を持つ登場人物、夏月は、"普通"の性癖を持つが故に悩み苦しむ人を羨ましく思う。
誰かが共感してくれるから苦しみがやわらぐことがある。夏月には、それがない、できない。
なんでだろう、少し申し訳ない気持ちになりました。誰かに悩みを打ち明けることで、私だけが楽になっていることはないだろうか、相手を苦しめていないか、と。
②夏月が「多様性」について思うこと。
今、世の中で一般的に理解され、使用されている「多様性」の本質を指摘したことば。私は、軽々しく使い過ぎていたなと反省しました。これからは「多様性」ということばを使う時、自分には好ましくない部分もひっくるめて考え、使おう。簡単じゃないけれど。
朝井リョウ『正欲』(2021年、新潮社)
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