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ドスケベトカゲ獣人親子のせいで同人処女を失った話

※下品な内容が含まれます。ご注意ください。

人生って何が起こるか分からないですね。
引退するはずだったゲームの拡張パッチを成り行きで、正直何も期待をせずにプレイをしたら、トカゲ獣人親子の関係性……主に息子の父親に対する強烈な感情が性癖にブッ刺さって狂ってしまい、気がつけば半年後にトカゲのエロ同人が完成していました。

普段から絵を描くことも少なく、漫画に至っては人生のうちに数ページほどしか描いたことのない、ほぼ読み専のライトオタクだったんですよ。
もちろんエロだってまともに描いたこともない、健全な人間でした。
なのに、一体誰が予想出来るって言うんですか?
人生はじめての同人誌が、68Pのトカゲ獣人近親ホモエロ漫画だなんて。

……私は別にケモナーじゃないんですよ。
むしろリアルの爬虫類はちょっと怖いな、くらいの認識だったんです。
そりゃ、やたらとスケベな体したトカゲ獣人だなと初見時には思いましたけど、そっち方面は全然詳しくない一般人なんですよ。
腐女子・百合豚と既に二重の苦しみを抱えているのに、これにケモナーが追加されて三重になってしまったら、この先どうしたらいいんです?
嫌ですよ!そんな汚いヘレン・ケラーは!

ちなみに、どうしてそんな素人が急に本を出そうとしたのか?
それはもう……推しカプを知って、好きになってもらいたかったからですよ。
メインストーリーで父親と息子の歪みきった最高の殺し合い(あれはもう実質セックスですよ)を目の当たりにして、ああ……ゾラグルこそがこの黄金の覇権カプなんだな、と確信したんですよ私は……。
そしてクリア後に、ウッキウキでpixivを見に行ったんです……。
…………。
………………なかったんですよ。
1件も、なかったんです。
ジャンル自体は大きいんです。人口はいるんです。
でも、なかったんです…………。

こんなにも萌えるカプなのに、どうして誰も見向きもしない?
嫉妬執着愛憎まみれの男男巨大感情殺し愛なんて、オタクの好物じゃないのか……?
関係性に萌えれば無機物BLだって嗜めるとかいう、あのしゃらくせえ古の腐女子言説はなんだったんだ?
やっぱりイケメンじゃないと流行らないのか……?
……ゾラグルは、だめなのか…………?
そうして枕を濡らしていたところで、頭割り6の開催を知ってしまったのが本当に良くなかったですね。
もう、勢いですよ。
誰も描かないなら、自分が描くしかない。
どうにかして、この世にゾラグルの本を一冊でも存在させなければ……。
そうして、サークル参加を申し込みました。


プロット

サークル参加の申し込みだけは10月頭には済ませていました。
でもその頃はまだ7.0の感想文を書いていたので、本格的に原稿に取り掛かったのは11月に入ってからでした。
10月の終わりに7.0の感想文を……?
おかしいですね、作者はアーリーからプレイしていたはずなのに。
当時の私のツイートやふせったーを読んでくださった方はご存知でしょうけど、父殺しのところで推しの断罪が確定してしまったこと、そして99討滅で推しを手にかけることになってしまい傷心し、ゲームを進めることが出来ずそれぞれでかなりの時間をロスしてしまいました。
そして7.0の感想文ですが、まあ~気が狂っていますね!
5万5000字です。私の卒論より長いですね。

これを書くのにかなり時間がかかりました。
そんなことをしていたら、気がつけば11月です。
とにかく早く原稿に取り掛からなければと、急いでプロットを練りました。
元々おおまかなストーリーは考えていたので、細かいセリフなんかを調整した感じですね。
別にPCの前にかじりつかずとも出来る作業なので、ストーリーを考えるこの工程が一番楽しかったです。

ネーム

最初の関門がネーム……というか、コマ割りでした。
コマってどうやって割ればいいんだ?
「コマ 割り方」「ネーム やり方」などで検索して勉強するところから始めました。時間がないのに。
あとはいろんな漫画を読んで、良いなと思ったコマを真似して……と試行錯誤しているうちに、やってきたのが7.1です。
正直推しの掘り下げはこれ以上必要ないと思っていたので、7.1で一体どんなことが語られるんだ……と恐れていたんですが、無事解釈一致したので良かったです。
特にプロットを変更する必要もなく、ネーム作業続行!と行きたいところですが、私はお気持ち長文大好きオタク。
もちろん7.1の感想文も書きます。時間がないのに。
そして出来たのがこれ。

これは1万6000字くらい。前よりかなり短いですね。
長すぎると書くのも読むのも疲れますもん。ほどほどが大事ですよ。
そうして自分の解釈を書き残したところで、原稿再開です。
頭を抱えながらもなんとか描き終えたのが11月の後半でした。

ネームと言っていいのかこれは……

下書き+ペン入れ+トーン

おや?様子がおかしいですねこの見出しは……。
どうして3つの工程がまとめられているんでしょう?
その答えは、そう。全部一緒にやったからですね。
「漫画の描き方」で検索して出てきた記事には、この工程を分けることで絵柄が前半と後半でブレるのを防ぐといったことが書かれていましたが、ガン無視しました。
その結果、あとで泣きを見ることになるのですが……その話はまた後でします。

私は工程ごとにページを切り替えて作業するのが面倒だったので、下書きから一気に仕上げてしまいたかったんですよね。
ということで、ここから1日1ページ程度のスピードで原稿を仕上げていきました。
この時点でだいたい12月です。
……計算が合いませんね?
2月1日のイベントに間に合わせるには、およそ50日後には原稿が完成していないといけません。
それに対して、この本のページ数は68Pです。
さて、どうしましょう。
非常にまずいです。結構焦っていました。
元々遅筆なうえに、はじめての長編漫画です。
画力も、知識も、経験値もないので全て調べながらやる必要があります。
原稿用紙の用語や設定から、モノクロとグレスケの違い、トーンの線数とは?モアレとは?アンチエイリアス?
本当に初歩の初歩から調べてやっていったので、時間はいくらあっても足りませんでしたね。

では、突然ですがここで公式からの供給です!
朔月秘話でなんと推しの話が投下されました。
完全に青天の霹靂です。
これで1日は作業が中断しましたね。仕方ないですよね。
この日はずっとTwitterで、感想という名のお気持ち解釈長文の垂れ流しをしていました。
一応自分用の備忘録として当時のツイートをnoteに残しているのですが、人様にお見せ出来るようなものではないので、ここには貼りません。
興味のある方は、お手数ですが私の記事一覧からご覧ください。

そうこうしているうちに、クリスマスイヴです。
新規バトルコンテンツにTLが盛り上がる中、私はもちろん……原稿です!
おそらくこの時点でまだ10Pも描けていなかったと思います。
表紙だけは完成させていましたが、本文は恐ろしく進みが悪かったですね。
プライベートの時間は、ほぼ全て原稿に費やしていたはずなんですが……。
そしてやってきた年末年始。
今年は9連休というボーナスタイムがあったからこそ、原稿が間に合ったと言っても過言ではありませんね。
最初からこの連休に全てをかけるつもりでいたので、タイムスケジュールを作ってスマホのロック画面にしていました。

同人作家の徳川カズヤ

徳川くんのこのセリフ(言ってない)を事あるごとにぼやいていました。
あと本当に焦っていたので、実際はこれよりやってましたね。
睡眠時間を削ってもなんか平気だったので。
朝4時とかまでやってましたけど、ハイになってたんでしょうかね?
なぜか全然疲労を感じなかったんですよね。
それにしんどいともつらいとも思わなかったです。楽しかったので。
そりゃそうですよね。なんせ正月はエロシーンを描いていたので。
この原稿強化期間中は軽くネット断ちをしていたんですけど、こればかりは作画資料集めのためにインターネットを駆使しました。
具体的に言うと、トカゲの股間周りですね。
動物病院のトカゲのクロアカサックプラグ症例写真とかずっと見てました。
「トカゲ ペニス」で検索したらいっぱい出てきたのでね……。
見すぎてリアルトカゲが苦手だったのに、なんか慣れてしまいました。
あとは海外のエグいディルド画像も調べましたね。
推しのちんぽを描くんですよ?
奇跡の子にふさわしい絶対王者のちんぽであらねば……!という使命感があったので「dragon penis」あたりで検索して出てきた強そうな造形のブツを参考に「このちんぽこそ絶対王者の証!」とか言いながら描いていました。
やっぱハイになっていましたよね。

そうしてトカゲのエロ絵を描き続けている中、事件が発生しました。
……なんと挿れる穴を間違えておりました。

違う違う!そっちの穴じゃないよ!
おーーーい!!
……𝓑𝓸𝔂𝓼 𝓛𝓸𝓿𝓮の読み過ぎで無意識にやってしまいましたね。
かなり気合を入れて描いたエロシーンだったので、ショックもデカいです。
衝撃すぎてSNS断ちの禁を破って思わずツイートもしてしまいました。
しかし時間はありません……。
修正は諦めて、とにかく先へ進めようと判断しました。
……しかし!

やっぱり許せませんでした。
だって……穴間違いは……許されませんよ……!
これは年下童貞攻め本じゃあないんですよ!
年上未亡人受け本ではありますが……。

そうして不健全な正月を過ごしていたところで、突然の公式供給2ndです。
推しの新規絵が2枚も投下されました。
正確に言うと、年末に1枚、年始に1枚と分かれていましたが、まあ~それが素晴らしいほどのクオリティで、プロの絵と今自分が描いている絵を比較してため息が出ましたね。
ネガティブな意味じゃないです。自分の絵が未熟なことは分かりきっているんですから。
単純に、公式絵の細部まで緻密に描かれたその画力に圧倒されたんですよ。
迫力や力強さはもちろん、筋肉の重厚感・重量感、そしてそのキャラクターの勇ましさや頼もしさ、まるで人柄までもが見えてくるような絵……。
静止画であるにもかかわらず、今にも動き出しそうなほどの躍動感に満ち溢れているんですよ。すごくないですか?
こんなの、私には絶対に描けない……。
しかもこんなに最高のイラストが、なんと無料で見れるんですよ。信じられますか?
ぜひこの画像を使ってグッズ販売をしてほしい……。
当たり前のことですが、私たちファンがこの画像で勝手にアクスタなんかを作ることは出来ないので、公式から何か出ますように……と願っています。
物理的に、手元に残るものを……どうか……。
お願いします…………。

こうして公式の供給に涙を流しているうちに、ホリデーは終わりを告げました。
この時点でまだ残り20P以上ありましたね。
私の筆の遅さではもはや絶望的状況ですが、絶望している暇はありません。
削れる時間は削り、使える時間の全てを原稿に費やして描き続けました。
QOLはもうカスです。
でもここでインフルにでも罹ったら確実に原稿を落とすことは分かっていたので、絶対に風邪だけはひかないぞ!と受験生並みに気を付けていました。

けれど、やはり締め切りへの焦り、ストレス、乱れた生活と疲労からでしょうか?
1月中旬からは毎日24時間、おはようからおやすみまで常に胃がキリキリと痛んでいましたね。
ま、単純に何かしらの菌を貰って弱っていた可能性は大いにありますけど。
インフルも流行っていましたし。
でもそのせいか、年末年始のあの集中力が続かなくなってしまったことが、結構つらかったですね。
原稿が嫌になるということはなかったんですが、以前のように楽しんで描いていられる状況ではなかったです。
それでも、やると言ったからには絶対に本を出すという覚悟はあったので……ひたすら描き続け……なんとかやりきりましたね。

加筆修正

やった!最後まで描き終えた!脱稿だ~~~ッ!!
いいえ、まだです。まだ終わりません。
ついにここで最初のツケが回ってきたんです。
そう、下書きからトーンまで一気に仕上げたツケです。
前半の絵と後半の絵がまるで違ったんですよ。
これはまあ、予想できた事です。
なので、あらかじめ印刷所の締め切りまでに余裕を持ったスケジュールを組んでいたのですが、思った以上に前半が酷かった。
これはかなり気合を入れて描き直さないといけません。
覚悟を決めて、気に入らないところ全てに加筆修正をしていきました。

体が人間すぎる……これは違う……
推しはこんなんじゃない……!
でも描けない……画力が足りない……ッ!!
※絵描いてるとき常にこれ

予定より多い修正、迫り来る締め切り。
それでもなんとか、締め切り当日の朝5時に完成させることが出来ました。
これで本当に脱稿です!めでたい!良かった〜!

部数

これはセンシティブな話題なので、人に聞くことも出来ずに悩みましたね。
初心者なので原稿チェックが丁寧だと評判のところにしようと、印刷所だけは先に決めておいたのですが、部数だけは……最後まで迷っていました。
だって初めての同人誌なんですよ?
それに加えて、700sp以上あるサークルのうち、なんとゾラグルサークルはうちだけです。
オンリーワンなんですよ……どうやって部数を読めと言うんですか?
初めての本なら予定の10分の1の部数で十分だとネットで見ましたが、私は出来れば完売は避けたかった。
私の目的は、第一にゾラグルの本をこの世に存在させること。
そして第二にゾラグルの良さをまだ見ぬ同志に共有することなので、少し余るかな?程度の部数にすることにしました。
まあ……爆死してもいいでしょう!
そんな経験でも、いつかきっと良い思い出になりますよ。

……本当は部数アンケとか取ってみたかったんですけどね。
でも、イーロンにシャドウバン(サーチバン)されてたんですよ、私。
締め切りも近付いてきたし、サンプルで告知するぞ〜って時期にですよ?
あまりにもタイミングが悪すぎる……!
ずっと原稿をしていてTwitterはほとんど触っていなかったというのに、一体何がイーロンの気に触ったのか……。
頭割りタグにも表示されない状態なので、アンケは意味がないだろうなと思い、取りませんでした。
なお、この記事を書いている現在(1/31)は解除されています。
おそらく昨日あたりに許されたんだと思います。頭割り公式さんにタグを拾ってもらえたので。
もっと早く解除してくれよ、イーロン!
大事な告知の時期だったんだぞ!
しかもはじめての本!はじめてのサークル参加!
でもイベント開催日には間に合ったので、それだけは良かったです。

完成!

……と、長々と綴って参りましたが、こんな感じでやってきた結果……完成した本がこちらになります。

嬉しいね

すごい!自分の本だ……!
いや〜良かった……。
無事に完成して、本当に良かった……!

同人処女と言っても、アンソロなどの企画に寄稿したことはあるんです。
ただ、アンソロってデータを提出すればあとは主催者さんが本を完成させてくれますから、自分で何かを作ったという実感はまったくなかったんです。
献本を送ってもらうだけで、イベントにも参加はしませんでしたし。
だからこそ、今回初めて自分で本を作り上げたことで、ついに私も同人誌を作ったんだという達成感と、新たな一歩を踏み出してしまったんだなという感覚に今は満たされています。

全てが終わったあとは気が抜けて、自分の漫画って……話の流れやテンポがおかしくないか?読んでいて何か違和感がないか?いや、そもそも絵が下手すぎる……などのネガティブな思考に囚われたりもしました。
その不安な気持ちは、今もずっと心のなかにあります。
それでも目標である「推しカプの本を出すこと」は達成出来たので、とりあえずは良しとすることにしました。
今更気にしても仕方がないですし、少しずつ経験を積んで頑張っていけば良いじゃないですか……
そうですよ、まだ次があるんですよ。

ええ、この本には続きがあります。
でもあまりにも長くなりすぎたので、プロットの時点でキリの良いところで切ったんですよね。
だからそのうち「欠けた双頭の証明2」が出ると思います。
でも、片方だけだと話が分からなかったり、物足りなかったりすることは絶対に避けたかった。
そのため、ストーリーの区切りに関してはかなり気を使って制作したので、続きがあるとはいえ今回の本はある程度綺麗に着地しているかと思います。
プロットの工程が一番楽しかったと書いた通り、物語を考えるのは好きなので、ド素人ですがなんとか頑張って次の漫画も描いていきたいですね。

今回の経験で自分の筆の遅さを改めて実感できたので、次はもう少し余裕をもったスケジュールで取り組みたいところです。
流石に娯楽や睡眠を削って確保したプライベートの時間全てを原稿に費やす日々は休まることがなかったので……。
まだ頭割り6の開催前で気が早いですが、次の頭割り7が待ち遠しいですね。

そして、きっとこれからも私はあの親子に狂い続けるのでしょう……。
本当に罪深い存在ですよ、彼らは……。
ひとりの人間のオタク人生と感情を見事にめちゃくちゃにしてくれました。
私は自分でも本を出せるということを”知って”しまいましたよ……。
それでも、良かったです。楽しかったです。後悔なんてありません。

ありがとう……。
ありがとう、君たち……。
私を狂わせた全てに、ありがとう……。


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