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大学3年の夏休みを台湾で過ごした話➇~伝わると自分も周りも幸せになる言葉~

 【はじめに】この台湾シリーズは私が2014年の夏に台湾で実施した教育インターンシップの記録を、当時の日記やSNSへの投稿を見ながらまとめたものです。マガジン「台湾日和」(無料)で一覧が見られます。

 日本語を教えるという初めての経験に頭を抱えながらも、台湾の温かな人たちに支えられたほのぼのライフをお楽しみください。

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 前回は新しいホームステイ先の話と教材やお土産に100均グッズが大活躍したという話を書きました。

 今回は生徒目線の授業を作るために私が考えていたこと。これをスキルや知識の面からではなく、思考の側面から記録したものが残っていたのでそれを振り返っていこうと思います。

私と生徒の関係性

 生徒たちの日本語を学ぶ姿勢について個人的に観察・質問して考えたことをまとめてみます。まず五人の生徒たちは皆口をそろえて「日本が好き」と言います。じゃあその「好き」ってなんなの?と掘り下げてみると「寿司が好き」「ハローキティが好き」「ジブリが好き」…。さすが小学生。ダイレクトです。この子たちが日本語をマスターして日本に移住しようとしていないことは分かりました。ただ言葉の壁があってこれ以上深いヒヤリングは出来ません。無念。仕方ないので授業の反応を観察することにします。

 大学の第二外国語が中国語だった程度で、発音も書き言葉も違う台湾語を話せない私は、基本的につたない中国語と英語と漢字を交えて筆談でコミュニケーションをとっていました。

 エキサイト翻訳とかね、持参した中国語の辞書と照らし合わせながらめちゃめちゃ使ってました。スクショが沢山残ってる…(笑)

(これは9月以降の新学年始まってからの写真なんですけど、いつもこうやって英語の授業では後ろから生徒たちをじっと観察していました。)

とにかく「伝えたい」という生徒の気持ち

 一週目で分かったことは生徒たちがただ日本語を勉強して終わりではなく実際に使って日本の子どもとコミュニケーションを取りたいと思っていたことでした。寿司が好きだから寿司を食べて終わりではないし、ハローキティが好きだからサンリオグッズを集めて終わりではない。うーん。見えてきたような、ないような。

 私が授業を始めてすぐに日本の姉妹校から交流使節団がくることが決まっていたので生徒は一生懸命挨拶や自己紹介の言葉を練習していましたね。

 問題は最初の大きなイベントが終わってしまった後の授業。目先の目標がなくなって生徒が一気にやる気をなくしてしまいました

 取り敢えず「楽しい」って思ってもらえるものを目指そうと考えました。そのためにまず画像や映像を取り入れようという単純な思い付きで準備を進めます。

 ちびまる子ちゃんを使ったら大ウケして、良かったなあと思ったり。

 今は高雄のメトロとちびまる子ちゃんがコラボしている模様。漢字の雰囲気でお分かりいただけるかと思いますが、期間延長してますね。すごい人気

 そういえば昔、外国人は日本のアニメを見て日本語や日本文化を勉強するのだという話を聞いたことを思い出しました。それでサザエさんなどを眺めていたのですが「なんでアニメで勉強するんだろう」とふと疑問に思いました。
 自分に置き換えて考えた時、「英語勉強するために海外のアニメを見たっけ?」と思ってみても心当たりがないのです。なんで見なかったのか考えてみると単純に「絵が好きじゃなかったから(笑)」

 (これ、アニメじゃないんですけどヨーロッパのホテルで恐らく日本でいう教育テレビ的なチャンネルでやっていた人形劇。短めの5分ほどの寸劇が何故かエンドレスで再生され続けるという催眠術のような番組でした。なんだったんだろう…。)


通じた瞬間が楽しくて、報われる

 こう考えると日本のアニメは綺麗で、確かに海外の人を惹きつけるのかもしれません。観ていて楽しいから見る。「楽しい」というハッピーな感情。すごく単純なことですが納得しました。日本語を勉強するのも「楽しい」ことに繋がらなくちゃやる気が出ないのも当然だ
 ここで一週目の生徒の様子を思い出してみます。日本の小学生と会話をしたいと一生懸命勉強していた生徒たち。授業で覚えた表現を私に対して使っては嬉しそうにしていた生徒たち。そうか、通じた瞬間が「楽しい」のか。

(私が初めて「好吃」(美味しい)と言えた時は、生徒がすっごく嬉しそうにしてくれたなあ。言葉が話せない私を、生徒たちは美味しいご飯屋さんにいっぱい連れて行ってくれました。表紙の写真もその一枚。ここのカレー味の餃子も美味しかった思い出。)

 また自分に置き換えて考えてみました。アメリカにいた時も英語が通じてとても嬉しかった瞬間はいくつもありましたし、日台の交流を手伝った際も、英語が役立つことが沢山あって「英語勉強してて良かったな」と感じることは多々ありました。言葉が通じた瞬間にこれまでの努力が報われるような嬉しさ。「楽しい」という気持ち。これを大事にした授業作りをしなければならないと二週目の終わりになってやっと気付きました。
 そしてもう一つ。私は海外のアニメは見ていませんでしたが「glee」は一時期はまってめっちゃ見てました。リスニングは無理なので字幕で見ていましたが、その時嬉しかった瞬間は「自分が習った表現が劇中に出てくること」でした。「自分と同年代の子がこの表現を使っている!」とわくわくしたのです。今思い返してみるとこのわくわくの正体は「自分が習った表現が実際に使われていることを実感出来たこと」なのではないかと思いました。

 高校時代はNHKとかで海外ドラマ観てましたけど、今は無料でもAbemaTVとかで海外のドラマも沢山見れますよね。すごい時代になった…。

 「この言い回し、この間習った!」ってなると嬉しいものです。

(画質があれですが、シアトルに短期留学していた頃の写真。この頃はやたらとアメリカにいた3か月に思いをはせていました。無口だった、16の頃(笑)シアトルの市場の雑多感は台湾の市場に通じるものがあったのかも。)

 私は別にロミジュリを原文で読みたいから英語を勉強していたんじゃない。やっぱり言いたいことが言えて伝わった瞬間が楽しいんだと今更になって気付きました。だからもっと私たちが普段使う身近な表現を教えようと思ったわけです。

 この後の授業の話はまた次回。少しずつ8月の終わりに近づいて、9月からの新体制にドキドキし始めていた頃かな、と今でも思い出せます。

 それでは、また~。

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