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小説の書き出し、あなたのお気に入りは?

YouTubeの初めの1分、TikTokの初めの1秒、
そして、小説であれば書き出しの1文。

「メロスは激怒した」?
「恥の多い生涯を送ってきました。」?
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」?

書き出しの1文は、その作品を代表する、いわば小説の顔である。
本好きであれば、お気に入りの書き出しというものがあるのではないだろうか。

私の読書人生のなかで、「お気に入りの書き出し」という存在が見つかったのは、小学5年生か、6年生の時だった。

「プレゼントなしのクリスマスなんて、クリスマスじゃない。」

青い鳥文庫 『若草物語』 作:オルコット 訳:谷口由美子

私は未だに、この文が大好きである。

とはいえ、人によっては何が好きなのか、どこが良いのか、いまいち分からないという人もいるだろう。
はっきり言うと、流行りのお洒落さやエモさも無い文ではあると思うし。

ではなぜ、この1文が好きなのか?
考えてみた。

そもそも、この本は私にとって、毎年クリスマスには必ず読みたくなって、必ず読み返してきた本である。

時代や国という点では、違う世界に生きる彼女達の生活に憧れて、姉妹のいる女の子、という点で私は登場人物たちと共通し、沢山の感情を共有した。

クリスマスプレゼントへの思いも共有した感情の1つだった。

我が家には誕生日にプレゼントを貰う文化がなかったので、プレゼントを貰える機会は必然的にクリスマスのみに絞られた。

そのクリスマスにプレゼントが無いなんて!!
なんということだろうか!
(余談だが、私のもとには中学3年生までサンタさんが来ていた。高校以降はプレゼントを貰っていない。)

そんな私である。小説の書き出しから、猛烈に共感した。何度読んでも猛烈に共感できる。

何度でも読み返すとは、そういうことである。

若草物語の世界へ、何度でもエスコートしてくれるのが、この1文であった。
そして、私の読書人生に「お気に入りの書き出し」という存在をもたらしてくれた1文でもある。

さて、小説の書き出し、あなたのお気に入りは?

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