献血が好きすぎる話①無難な理由編
突然ではありますが、タイトルの通り「献血が好きすぎる」という話をつらつらと書きたい。新年なのでなんとなく明るい話で始めたいのと、2024年の時間の使い方を振り返ったときに献血も年間の最多記録だったと気づいたから。これまで最多だった大学時代の14回を地味に上回り、15回。
私の中では当たり前のように「行きたいもの」になっているので、好きな理由はありすぎるし自覚していないものもあると思うけど、改めてまとめてみたい。ざっくり考えてみると、無難な理由(よく言われていること、万人受けすること)と変わり種な理由(珍しい、個人的すぎるもの)に分けられそうなので、分けて書いてみる。今回は無難編。
要約すると、私にとって献血は「清潔で落ち着いた空間に本を読みに行くと、1年分くらいの感謝の言葉を浴びて自己肯定感が爆上がりして、自分の健康チェックもできる」みたいなもの。
1/7夜追記)
なんとびっくり、note公式さんのマガジンに追加していただいたおかげで、想像を超える多くの皆さんに読んでいただいているので、慌てて献血に興味を持った人向けの案内を書きました。
この記事を読んで「いいね」してくださった方は、この記事で献血に興味を持ったというよりは、元々献血が好きで私のオタク文章に「わかるわかる」と共感していただいているのかなと想像していますが、もし興味を持っていただいて、「でも献血やろうとしたらどうすればいいの?」となった方がいたらどうぞ。
大前提:献血は、行きたい人が行けばいい(575)
私にとって献血はもはや趣味の1つなので、「偉い」と言われることにすら違和感がある。もちろん、そう言っていただく分にはありがたいものの、裏返しの「献血しない人は偉くない」という考えは微塵もない。
海外渡航・在住歴、体質(貧血や低体重など)、服薬や予防接種など、献血をしたくてもできない場合は山ほどある。そもそも針を刺すことや血を抜かれることが苦手という人もたくさんいる。そんな方々に、「無理してでも献血をしろ」とは全く思わない。むしろ、そういう方々がいると知っているからこそ、「私が張り切って献血しよう!!!」とモチベーションがアップしさえしている。(そろそろ私の熱意がキモくなってきたかもしれません。たぶんこんな調子で続きます)
じゃあなぜこんな記事を書くのかというと、献血の存在や魅力を知ってほしい気持ちはあるから。人間は意外と、「食わず嫌い」でやっていないことや「そもそも知らない」「身近に感じられない」からやっていないことがたくさんあると最近感じる。私がそうだから。「なんだ〜、こんな楽しいことあったなら早く知りたかった」「ハードル高そうだったけど全然やってみればよかったのか」と。ダイビングとか、サザエを焼いて食べるとか、パッタイ作りとか。
献血が、誰かにとってそんな存在になってる可能性があると思って、一応、私なりに魅力や気軽さを伝えてみたい。読んだ上で「全然楽しそうじゃない」「私は苦手だ」と思うのももちろん自由なのです。ただのオタクが好きを語る文章。
①わかりやすく誰かの役に立てる
定番中の定番。あらゆるボランティアに共通することだけど、やはり誰かの役に立つって嬉しいことだと思う。献血に行くと、普通に暮らしてる1年分くらいの感謝の言葉をかけられる気がする。
私は特に、「人の役に立ちたい」という思いが良くも悪くも強い(なぜ悪いかというと、人の役に立っていないと自己肯定感が下がってしまうという、ある種呪いのような面があるから)。だから綺麗事ではなく、「自分のために」人の役に立ちたい。
人の役に立つことは、別に献血以外にもたくさんある。仕事だって(いくら虚業に感じられたって)役に立っているからこそ給料が発生している。周囲の人に優しくする、街で見かけた困っている人を助ける、いくらでもある。
でも私は、これまた厄介な性質で、「本当に役に立ってるのかな」と自信を持てない時がある。特に人間関係は何が正解かわからなくて、誰かの役に立てたと思えば別の誰かの足を引っ張っていた、みたいなことも起きかねない。
そんなめんどくさい思考を持つ私に、献血はわかりやすい。少なくとも今の技術では血液を人工的につくることができず、でも血液を必要としている人はいて、確立された献血や医療の技術では安全に私の血を使ってもらうことができる。役に立っている!!!と実感できる。これが見出しの「わかりやすく」の意味。
ちなみに、意外かもしれないのでお伝えしておくと、事故などの大量出血で必要になった人への輸血という使われ方はかなり一部で、がんを中心とした病気の治療への利用が8割ほどを占める。つまり日常的に必要な人が多い。
さらに、他のボランティアや寄付・募金と比べてわかりやすいのが、血の活用方法は献血しかないから。
ボランティアはいろいろある。街のゴミを拾うところから、街づくりへの参加、災害復興、高齢者や障害者の支援……時間にもお金にも体力にも制限があり、興味があること全てはできない。でも何か1つを選ぶと「これが私の最優先事項なのか?」などと自問し始めてしまう。
寄付や募金も同じ。大きな災害などが起きた時にはとりあえず募金するものの、普段からどこかの団体に寄付し続けるのは同じ理由で難しい。(今はウクライナ侵略を機に始めたUNHCRへの毎月の定額寄付を続けている。これも戦争がきっかけなのでわかりやすかった)
厄介な性格だ。完璧主義の悪い面が出てる。全部を支援できなくても、何か1つでも、支援しないよりはした方がいい。頭ではわかってる。でも、選択肢が多すぎて決めきれない。
その点、私の血の使い道は、赤十字社がやっている献血しかないので、迷うことなく「はい、ここに血を差し出します」と決断できる。
そして逆説的ではあるが、ボランティアや寄付に比べて、「やりたくてもできない人」がいることも、私が自信を持って献血を選び取れる理由の1つかもしれない。
お金で考えるとわかりやすいが、私はどんなに頑張ってもビルゲイツの金額を上回って寄付できない。財団を作って感染症の撲滅に貢献する資金力はない。ボランティアも、何か専門的な資格や知識を持っている人なら、それを生かすことで特定分野で大活躍できる気がする(勝手な想像だけど、弁護士のプロボノとか、教員を引退した人が障害児の支援に携わるとか)。私には特にないし、体力には自信があるけど力仕事で男性には敵わない。
だから私の寄付やボランティアが無意味ということでは全くないけど、献血の方が私の得意分野だから積極的にやっていこう、という話。
ちなみに献血の得意さについて触れておくと、まず1番引っかかりやすい貧血が、全然ない。部活やマラソンをしていた学生時代は貧血気味で、ルームに行っても当日の検査で献血できないことが度々あった。それが最近は走っていないのと、(たぶん)ピルを飲んでいて生理の頻度や量が減ったことで、ヘモグロビン濃度は看護師さんに「濃いですね〜」と言われるくらいに濃くなった。
また、私が主にやっている成分献血とは、必要な血漿や血小板を取り除いた後に赤血球などの残りの血液を戻すため、血管が細すぎると難しいらしい。私は血管の太さや浮かび具合もなかなかいいらしく、時々「いい血管ね〜」と褒められるくらいだ。
すみません、1つ目が無限に長いし、ほとんどはややこしい性格についての自分語りになってしまった…
ようやく2つ目に行きます!
②清潔な環境でゆっくりできる
献血ルームは、血液を扱うので当然ながらとても清潔。消毒などは徹底しているし、見た目的にも明るくて綺麗な空間になっているところが多いので、とても落ち着く環境だ。
献血の種類によるけど、上で少し触れたように、成分献血は必要な成分以外を再び体に戻すので(針は1回刺すだけなのでご安心を)、献血バスでもやっている400ml献血と比べて採血の時間が長い。成分だと30〜60分くらいは、ベッド(と言ってもリクライニングのソファ、居心地がよい)に横になっている。
私はその長い時間を使って、本を読む。これがいい。美容室なども同様に好きなんだけど、なんというか、他にやることがない状態で読書に集中できる環境が好きだ。もちろんスマホをいじろうと思えばできてしまうし、ベッドにテレビも付いているけど、私はカフェに読書しに行くみたいな感覚で、「献血中は読書」と決めているので捗る。
受付から採血まで、検査などの待ち時間(効率的なのであまり長くはないけど)や、終わってからルームを出るまで20分ほどは休憩する必要があるのでその時間を合わせると、けっこう読書が捗る。
③健康チェックになる
聞いたことがある人も多いかもしれないが、献血をするとお礼として、その時の血液で検査の結果を後日教えてくれる。コレステロールやヘモグロビン濃度、糖尿病検査の1つであるグリコアルブミンなど。詳しくはこちら。
これはかなりありがたい。会社の健康診断もあるけど年1回。限られた項目とはいえもっと定期的に確認できるのはとても助かる。
私は基本的に全て基準内の健康体ではあるけど、グリコアルブミンがやや高めで(甘いものが好きなので自覚もある)、やはり不摂生を続けた時には数値が上がったりもするので、「やばい、さすがに甘いもの減らそ」となる。肝臓系の項目もあるので、飲酒が続いた時なんかもいいきっかけになる。
ちなみに会員サイト上では過去データ全て(2005年以降らしいが私は影響なし)を見られる。これって地味にすごいと思う。定期検診の記録で表示されるのは直近3年分だったり、私のようなズボラ人間は受け取った結果を全て保管できないので、病院を変えると過去の結果は消えてしまう。それが、私の場合はすでに10年分の血液検査の結果が、全部遡れてしまう!健康オタクとしても歓喜である。
以上、無難な理由3つでした。長すぎてすみませんがまだ半分です。変わり種編に続きます。
注釈
献血の仕組みの説明もないままに「成分献血」「全血献血」などの単語を出し、回数の話とかしてしまったので、一応、興味を持った方や疑問に思われた方のために説明を付けておきます。
成分献血:採血した中から必要な成分(血漿または血小板)を分離し、それ以外を自分の体に再び戻すもの。針は全血と変わらず1本だけ刺しっぱなしなので、やられている分には何も変わらない。
採血してそのまま全てを使う全血献血(主に400ml献血)と比べ、赤血球が返されるので体への負担が小さい。献血後2週間で次の献血が可能になり、年間にできる回数も24回(血小板は1回を2回でカウント)。全血の場合は、次の献血が可能になるのは男性で12週間後、女性で16週間後。年間の上限は男性3回、女性2回。とだいぶ違う。
私が冒頭で2024年は15回と書いたが、血漿の成分献血だからできた回数ではある。全血も必要不可欠なので協力できずに罪悪感を覚えることもあるが、全血の方が体重やヘモグロビン濃度の基準が高くて引っかかってしまうことがあるので、成分で回数を重ねることにしている。