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『ツバメが巣を作る家は幸せになる』 は本当か。

『ツバメが巣を作る家は幸せになる』


この春、初めて、わが家の玄関ポーチでツバメが巣作りを始めた。

うれしい!!

たしか縁起ものの言い伝えなどがあったことを思い出し、改めて巣作りについて知りたくなり検索することにした。


▪️害虫を食べてくれることから、農家にとっては豊作に導いてくれる縁起の良い鳥とされている

▪️人の出入りが多いところ、つまり商売繁盛している店の軒先などを選ぶ

▪️一度の産卵で4〜6個ほどの卵を産み、同じ年にニ度産卵するつがいもあるため、子宝や子だくさんをもたらす鳥として、あえて巣を作ってもらう人もいる

▪️ツバメが巣を作る縁起の良さの最上級は、家の中、それも床の間に巣を作ってもらうことである


最後のは色々と気になるけど、検索を続ける。

そして最後に

▪️ツバメは、適当に人の出入りがあり、湿気の少ない爽やかな環境で、巣を壊さないやさしい人がいる場所を選ぶ

という、この情報にたどりついて検索終了。

なんだか、ツバメの言い分として一番しっくりきたし、最後の一文が私の承認欲求をくすぐったのも事実。


そんなこんなで、巣づくりを見て喜ぶ子どもたちにも色々な言い伝えがあること聞かせ、ツバメの子育てをそっと見守ろうと話した。

これから起きるであろう、フンの話もした。

子どもたちは口を揃えて、そんなの構わない!と言った。
きっと、お世話するする詐欺だろう。


初めは藁を含んだ泥が点々と壁に付着しているようにしか見えなかったものが、あれよあれよと言う間に立派な巣になった。
その器用さと、一日中ひたすらに巣の材料の調達と生きるための捕食に飛び回るツバメの姿は本当に健気で感動的だった。

二週間ほどで、ピーピーピーと小さなヒナの声が聞こえてくるようになった。

生まれた瞬間から、ヒナは生き残るためにすべきことを知っていて、親鳥がいない間は絶対に鳴かずに身を潜めている。
つくづく野生とは凄いと思う。 

同じようにツバメの巣作りを喜んでたいた友人は、自宅の巣のヒナが大型の鳥に襲われるのを目撃した。言葉どおり鷲掴みにされ、本当にあっと言う間に連れ去られたらしい。
人家の軒先といえど、ここは野生なのだ。

そして、その野生が、自分たちの身を守り命を繋ぐために人間の存在を借りている。
生まれたばかりの命や自然の営みを間近で見せてもらえるということは、そういうことなんだと思う。
私たち人間も、自然の中の生きものとして機能しているのだ。
そのことを有り難く思った。


親鳥たちは益々忙しく、朝の早い初夏は4時半くらいから巣をあけて、陽の長い夕暮れは20時ころまで飛び回った。

フンも思っていた以上だった。

最初はフン害というものを少し心配していたが、実際は全く気にならなかった。
むしろ、君たちのご両親はエサを捕るのが上手なんやで〜と、もりもりのフン山を片付けながら嬉しくなる。

もちろん、巣の下だけではなく、家の周りを飛び回る親鳥が車や家の窓にもフンをひっかけるが、そんなものは水で流せば済む話。
高速で飛びながら落とされるフンが描く鋭い流線や、どうやったらこの角度に付けられるのか?!というようなフンを見ては、その飛行能力をカッコイイー!!!と思わずにはいられない。


ヒナが育つにつれ巣が窮屈になると、夜、親鳥たちは巣の淵にしがみつくようにして眠っていた。
そんな体勢で休めるのだろうか。

「ポーチの電気は点けておこうか?消した方がいい?」
夜の戸締りの時、私はいつも気になる。

毎晩「おやすみ」と言ってドアを閉める。
毎朝「おはよう」と言ってドアを開ける。
 
ヒナは丸々と育って、数週間後、無事に巣立っていった。


そして今、同じ巣で、2度目の子育てが始まっている。
どうやらわが家は、ツバメにとって優良物件だと思ってもらえたらしい。

ひと夏にこんな愛らしい光景を2度も見させてもらえるなんて。

豊作も、商売繁盛も、子宝も、最上級の縁起も、
私の生活スタイルでは実感はもちにくい。

でも、ツバメとの暮らしは、幸せな気持ちになれる、ということは本当だと思う。


「幸せになる」と「幸せな気持ちになれる」は、
同じことなのか別のことなのか、その人の感じ方次第だとも思う。




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