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反射する光には影がある

LOSTAGEのライブを初めて見た時 お腹の底にこれでもかと響くベースの音量があまりにも大きくて、深くて。少しクラクラしてしまった思い出がある。

6人体制ともなると色々な音が聴こえてきて楽しい。声による音、音に馴染む声。そのどちらも相応に人から生まれていて、そういう唯一無二の、血の通ったもので成り立った一音一音が曲になって私たちの耳に届く。サブスクリプションでながら聴きするんじゃなくて、ある程度統一されたプレイリストを選ぶだけじゃなくて、今目の前で演奏される一瞬一瞬が、これが私たちがお金を払っているもの、払いたい時間なのだ、と、強く思う。今、あなたは何にお金を払うだろうか?その行先を、私もずっと考えている。

前半のトークライブは、ベースボーカルの五味(兄)さんがヤフオクで100万円で落札したという、超良質スピーカーで今回の新アルバム『HARVEST』を曲にまつわるエピソードを交えて一曲ずつ試聴していくというもの。
大きなスピーカーで、レコード音源とハイレゾ音源の二つを聴き比べてみましょうという五味(兄)さんの提案はなかなか面白いものだった。全然違う。大きな音で聴いているからというのもあるだろうけど、レコード音源で鳴る音の奥行きの深さ、厚みみたいなものが際立って、でもただ分厚いんじゃない、ちゃんと鳴りの柔らさみたいなものがあるので、いやらしさがない(感じがする)…!レコードの後にハイレゾ音源を聴くと、表面で鳴っている音を出来る限り綺麗に集めました、みたいな感じがして、普段は全然サブスクにはお世話になっているけれど、こうも違うもんかと結構感動する。レコードを購入したのは大分久しぶりで、学生の頃某店でバイトしてた時に思い切って買った安めのプレイヤーがあって、好きなバンドが割りかしレコードを出すことも多いのでたまーに気が向いたら聴いていた。メカオタクでもないので特にこだわりはないけど、レコードの文化は20代の私にはとても新鮮だし、この時代にあえてよいしょと準備して聴く音楽があるのは面白いなと純粋に思う。というか、『HARVEST』は先に音源での購入だった訳だから、歌詞カードを見るのは今レコードの中に入っているやつが初めてだ。アルバムをウォークマンに入れて全部聴いたのは、春先の、コロナが日本でも流行り始めた頃だった。コロナなんて知らない過去。そして、手探りの中過ごしたこの約九ヶ月間の過去。ライブに行って、なんとなく聴き流していた曲がやけにかっこいいことに気づいたり、こんな曲あったんだとわかったり、元々好きだった曲をより好きになったり…その時その時で違う曲になる音楽たちと出会うため、ライブハウスに足を運んでいたんだ。これは現実で、これは普通じゃない。五味(兄)さんもおっしゃっていたけれど、未来に遡って見ればこの一年は何だったんだろうと思うだろう。でも、私はこんな目の前でLOSTAGEの演奏をじっくり観たことはない。シンガーロングもできないけれど、こういう形になっても尚、音楽をやる彼らの存在が嬉しいから、何も諦めたくない。

涙が出た。みんな、曲が始まれば顔が変わるんだ。この時間が好きだ。

見えない私の残像が、私自身を受け入れてくれたのがわかった。この歌たちと一緒なら、そうできると思ったんだ。

最近は、日記の最初の一文目ばかり考えている。自分の頭の中の考えが次々と並び替えられている感覚があって、綺麗にしたい一方で、順番なんて気にしないでもっとごちゃごちゃさせてしまえばいいのにとか思う。十分ごちゃごちゃなんだけど。

自分がこれから手にしていきたいもののことを、いい加減考えてばかりいないようにしたい。いや、手にできるなんて思わず、一生追いかけ続けていいから、その身でなりたい自分を想像してごらんよと 泳がせてあげたい。

もう少し遊びましょう、私と。

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