落ちない星の中で
日食なつこ 「アスペラトゥスの惰眠」
2019.07.05(金) 渋谷 LOFT HEAVEN
1.深海潜水
海の底だった。藍色とぼんやり揺れるプラスチックの雲が、沈み込んでしまった私たちごと覆いその世界を完結させた。一人の夜はいつも、その深さに気づかないままだよね。記憶の分だけ、ぜんぶ抱きしめたいと思ってるんだよ
2.ヒーロー失踪
途端にあげたはずの声が自分のものかもわからないことがある。目の前の人たちとの見えない壁ってどうしてあんなにも分厚いんだろう。季節も気持ちも移ろい続けている。本当のことは、言われるとドキッとする。
3.黒い天球儀
私はといえば自分が回さなくちゃいけない世界のことをずっとずっと考えていた。何かをどうにかしたくて、でもわからなくて。彼女が地獄の閻魔大王様だったとしたら、とうに裁かれていることだろう。
座っていたって汗をかくのだと知る。
4.サイクル
この永遠の時間に赤い雷を落とそう。尊いものすらいつかは失くなってしまう。どうしようもないから、人は眠りに落ちる。
5.vapor
雨は止んだと思っていた。思っていただけだった。
あなたとわたしのことは、あなたとわたしにしかわからない。どうしてもと言わないのなら今日の夕立のことだけ考えることにするけど、傘を閉じるかどうかのことまで私に託すことはもうやめよう。先に行ってるね。
6.10箇年計画フレンチトースト
甘い香りがする。大切な人と美味しいもの、それだけでいい。
7.2099年
8.跳躍
9.スペクタクル
行こう。ずっと向こうへ。もうここにいなくても大丈夫だと分かったのだから。私の世界を見に行こう。
10.white froast
全ての祈りと私たちの生命は、太陽に手のひらを当てたら溶けてなくなってしまうと思う。雪の下で芽吹いても目には見えない。それでも力になりたくて、守りたいものと向き合うために戦っている。
11.多年草
12.空中裁判