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おやつの秋、きらきら



小川洋子さんの『キラキラ共和国』のなかで、バーバラ婦人というマダムが出てくるのだけど、彼女が教えてくれるキラキラの魔法というものがあって、目を瞑ってキラキラ、キラキラ、と唱えていると心の暗闇に星が灯るんだ、みたいな。

はじめて読んだときからなんてステキ!と思って、ふとしたときに自分でもキラキラ、と唱えることがある。キラキラ、キラキラ、と唱えているとぽふっぽふっとかわいい光が生まれてきて、ああ、おやつ食べたいって思う。おいもにかぼちゃ、栗とりんご…秋のおやつの星たちがわたしの心で大四角形を成している。

っていう話をしたら夫に「ただのポエティック食いしんぼうじゃん」って言われました。なんて言い草でしょう。おやつあげないぞ。


おいも

ポエティックかはともかく、食べることがだいすきなのは否定できない。心に灯ったおやつの星を手に入れるべく、

手始めにスイートポテトパンを焼いてやったぜ。

生地にもさつまいも練り込んでるので、パン自体がスイートポテトみたいに甘い。

お次はだいすきなチーズケーキ。さつまいもと蜂蜜たっぷり🍯ちょっとさつまいもが残ってるくらいがちょうどよいのだ。

翌日はアイス乗っけて、

シナモンもふって食べた。手間だけど、自分を慈しむためには手と時間をかけることが必要である。

大学芋風バスチー

コライトコーヒーさんで今月はさつまいものバスチーがあるとのことで、ひとりわくわく行ってきた。

このさりげなくも洗練されたビジュアル。素朴なのにしっかりおいもで、印象的なおいしさ。おしゃれだけど落ち着いた空間で、ぽかぽかのカフェオレと一緒に過ごす時間が尊すぎて泣けてくる。

かぼちゃ

もう気づけば約1ヶ月前だけどハロウィンに米粉のジャックオランタン風かぼちゃパンをつくったのだった。もっちりおいしくかわいくね🎃

そういえばトリックオアトリート!って夫に言ったら「鳥貴族に行きたい?」って聞き返されたのですがこれはわたしの滑舌が悪いのか夫の耳が悪いのかどちらなのでしょう。我が家ではよくこういう現象が起きるのですが、磁場が歪んでるのかしら。

ジャックの頭に刺すために買ったかぼちゃの種が山ほど余ったので、後日皮ごとかぼちゃのパウンドケーキも焼いた。

きれいな黄金色。分厚めに切った後は、

欲望のままにアイスをぽんしてできあがり。

ひとすくいのアイスの分だけ自分を甘やかしていいのだ。だってがんばってるもの。溶けてゆくバニラアイスとまだほんのりあったかいパウンドケーキが心に染みるよ。

りんご

朝から焼きたてのアップルパイを食べることほど贅沢なことはあるだろうか。あるかも。でもこれって…最高じゃないっ…?とハチワレ風にひとりごつ、ちょっと寒い晴れた朝。

夫の分もちゃんとあるよ

久しぶりに母と一緒においしいもの会をしようと、サロンドテカワムラさんで栗きんとん風モンブランを食べに。

おっと麗しすぎません?

秋のかけらを集めて一つずつ丁寧に流したようなワンプレート。なんて上品な。目がチカチカする。

モンブランは表面がキャラメリゼされてて、パリってしてる。なかはなめらかで、栗クリームの中心にはおっきな黒豆が主みたいに鎮座してて、これがおいしいのなんのってもう!もう!

半分くらい食べたら、杏のソースをかける。上品な栗の甘さに甘酸っぱい杏が加わって、茶目っけがある面白いお味に。モンブランって食べてる途中にちょっと飽きがち…というか胃がもたれてくるんだけど(弱い)、最後までおいしく楽しめた。

母はお茶のセット🍵

母と「おいしいねえ」って何十回も繰り返した。ほんとにおいしいねえ。ねえ。ありがとうねえ。今年は紅葉見に行かなかったけど、ここにあったねえ。


秋のおやつきらきら


気づけばもう11月も終わり、去り行く秋のしっぽを捕まえたようなおやつを食べ、調子を崩しがちな自分のご機嫌を必死にとる日々だった。

だいすきなおやつを食べたぶんだけ、心の中に光が灯ってればいいのにな。

キラキラ、と唱えて残りの日々も過ごそうか。冬の夜空はきれいだし、あったかいおやつもおいしいし。ほっこり、キラキラ、冬も楽しんでいきたいなあ。