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『かわいいが、世界を救う(かもしれない)』


あなたはわたしをかわいいと言うけれど、わたしに言わせればわたしなんかよりあなたのほうがずっとかわいい。なぜならあなたはわたしに恋をしているから、わたしの帰りを待っているときも、ソファでとなり合っているときも、ふたりで洗濯ものをたたんでいるときも、買いもの袋をぶら提げて並んで歩いているときも、あなたはいつもわたしに恋をしているから、だからあなたはわたしなんかよりずっとかわいい。
わたしもあなたに恋をしているけれど、こんなにかわいいあなたよりかわいい自信なんかない。あなたはきっとそんなことないと言う、あなたはわたしをかわいいと言うけれど、わたしに言わせればわたしなんかよりあなたのほうがずっとかわいいと言う。なぜならあなたはわたしに恋をしているから、わたしの帰りを待っているときも、ソファでとなり合っているときも、ふたりで洗濯ものをたたんでいるときも、買いもの袋をぶら提げて並んで歩いているときも、あなたはいつもわたしに恋をしているから、だからあなたはわたしなんかよりずっとかわいいと言う。

どちらが正しいかなんてきっとわからない、どうでもいいし、数値化されるものでもない。わたしにとってのかわいいがあなたであなたにとってのかわいいがわたしだ、そして世の中にはわたしではないわたしとあなたではないあなたがたくさんいる。それぞれのかわいいをそれぞれが愛でればいい、それが世界平和への第一歩で(それは古くから知られてきたことだけれど)、それなのに踏み出されては踏みにじられてきた、尊く偉大で、限りなく脆い一歩だ。
こんどは
わたしとあなたで、踏み出してみようか。


『かわいいが、世界を救う(かもしれない)』







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だいすーけ
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