だからぼくは、優しくなんかないんだ。
自分の感情をたった4文字で規定されちゃあたまらないよなぁ、なんて、誰にともなく不満をあらわにしてみても、かえってくる返事はないから考えていた。
喜怒哀楽。
このなかで、1番伝えることがむずかしいのはどれだろう。
あくまでぼくの場合は、だけれど、それは間違いなく、「怒」だ。
*
感情的になって、一方的にまくしたてて、息切れして。
訪れた気まずい沈黙に、みんなで傷つく。
改善したいだけなのに、白黒つけようとしてしまう。
ほんとうに伝えたかったことが、まったく置き去りになってしまう。
そんなことを、繰り返した時期があった。
まだまだ未熟だった。
ぼく以上にそんな人に遭遇したことも、たくさんあった。
そんな経験は、怒りという感情そのものを排除してしまいたいと、ぼくに思わせるようになった。
怒らなければ、傷つかなくて済むから。
怒らなければ、ストレスを抱えなくて済むから。
それなら、自分の感情にフタをすればいい。
ネガティブな感情には、フタをすればいい。
そう思ったけれど、「怒」だけを抑えられるような、そんな都合のいいフタは当然あるはずもない。
ぼくは同時に、ほかの3つの感情にもフタをしてしまった。
怒らないのは、優しいね。
そう言われるけれど、それは逆だ。
優しくないから、怒れない。
怒らないのではなくて、怒れないだけなんだ。
それと同じだけ、喜びの気持ちも、哀しい気持ちも、楽しい気持ちも、表に出すのがこわくなってしまったから。
「気持ちを伝える」という、ぼくらの一番大切なことにフタをしようとしてしまったから。
そう。
だからぼくは、優しくなんかないんだ。
*
怒るということは、不満を表明して原因の改善を相手に求めることなのだと思うから、ほんらいはポジティブなことなのだろう。
でも、それをポジティブに伝えるということは、ぼくにとっては言うほど簡単ではなかった。
怒り方を間違えてしまったから。
でも今は、すこしだけそれがわかる。さすがに年を取ったのか、成長できたのかわからないけれど、思うことはしっかり伝えるべきだし、肝心なのは、その伝え方なのだということを。
伝えるということは、必ず相手がいるということだ。
たとえ親でも子どもでも、パートナーでも友人でも。
まっすぐに尖りすぎた感情で、相手を貫いていいはずがないんだ。
そんなこともわからずに、自己嫌悪で自らを閉ざす。
もったいないことを、してしまった気がする。
*
4つの感情のなかで一番伝えるのがむずかしいのが「怒」だと思ったとき、じつはすこしホッとした。
喜び、哀しみ、楽しさ。
だってこっちの方が、絶対優先だもの。
だからこれはたいした問題ではないのかもしれないけれど、これがぼくの過去にこうして書いてきたような暗い感情の流れをつくったことだけは、確かだ。
こころに際限なく湧き出る感情を、どう人に伝えながらみんなでしあわせを分かちあうのか。
ぼくらの人生の課題って、結局こんな根源的なことだったりするんだろうな。
*
<おわりに>
毎日投稿チャレンジ、今日で31日目になりました。
ヒィヒィ言いながら絞り出す毎日、ほんとうに苦しいと思うこともありますが、見にきていただけるという喜びが、まだまだ何百倍か勝っています。
なんか、しあわせです。
こうして何かを皆さんと共有できて、たくさんのものを与えてもらえて。
これからも、ゆるりとお付き合いいただければと思います。
ほんとうに、ありがとうございます。
今日もさいごまで読んでいただき、ありがとうございました。
あ。
今日は、「アンガーマネジメントの日」だったそうですよ。
怒りに限らずですが、うまく感情をコントロールできるようにしたいですね。
それでは、また。