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ブラジャーからの解放 ―ニップレスはじめました―

私はブラジャーが大嫌い

私はブラジャーが大嫌いだ。

まず、そもそも服なんてできるだけ着たくない。着る服をギリギリまで減らそうと考えたときに一番内側に身に着ける下着を省こうというのは自然な選択だと思う。下品になりそうなので詳細は書かないが、パンツは明確な機能があって役に立ってくれている。けどさ、ブラジャーって何をしてくれているんだろう。突起を守るだけならニップレスでいいのではないか。

さらに、ブラジャーってなんだか怖い。胸を型どるワイヤーが入っていて、体にピッタリしていて、金具で止める服って何?締め付け度合いから言っても服の中で明らかに異質だ。ノンワイヤーやスポーツブラも試したが、締め付けがあることに変わりはない。えっ、じゃあそれと引き換えにブラジャーが私に何をしてくれているんだろう。突起を守るだけならニップレスでいいのではないか。


ニップレス始めました

何度どう考えてもニップレスでいいことに帰結してしまったので、今年の猛暑にかこつけてブラジャーからニップレスへの転換を試みた。懸念点としては、解放された胸部が揺れて不自由があるかどうかという点だ。これは着けてみないことには不明なので、検証したい。

ニップレスを使った感想としては、まず、朝の支度のときにぷるぷるしたゼリーのようなものを胸部にペタッと貼るのがかなり楽しい。貼ったあとの姿も結構面白い。つい毎回同居人に見せてしまう。つぎに、とてつもなく快適だ。毎日締め付けられないというだけでこんなにも愉快なのか。懸念されていた揺れについては、全く気にならなかった。私が怠惰で日常の中でほとんど走らないからかも知れないけど、とにかく些細なことに感じた。怠惰でよかった。


困ったこともある

もちろん、良いことだけではない。困ったことも2つある。 

1つ目は粘着性のあるコースターくらいの大きさの物を管理するのが難しいという点だ。ありとあらゆる物にくっつくし、落下するときは当然のように粘着面を下に床に落ちてホコリや髪の毛を集めてしまう。とはいえ、読みかけの文庫本や捨てようとしたコンタクトの箱にニップレスがくっついてプルプルしているのを見るのはかなり愉快だ。

2つ目はごく稀に、20回に一度くらいの頻度で、着用中に取れてしまうことがあることだ。剥がれるとなんとなく感覚でわかるため、今のところは落ちる前に貼り直せているが、これが服をかいくぐって下に落ちてしまうことを心配している。最悪なのは会社で落とすことだ。これだけは絶対に避けたい。私の勤務している会社は男性が多く、かつなんというかファッションや女性の小物に疎い人が多い(ような気がする)。ニップレスが落ちていてもそれが何なのかは多くの職員には分からないだろう。その上で困るのが、本当にありがたいことに親切な人が多いことだ。落とし物を見つけた職員は、ウェブ上の全社用掲示板に画像付きでお知らせするという善意を煮詰めたような習慣がある。もしも、ニップレスの写真付きで「こちら2階の廊下で拾いました。粘着性のあるゼリー状の物です。保管しているので心当たりのある方は〇〇まで。」などと掲示されたら、耐えられるだろうか。そういう事が起こる確率が高いという証拠に、ピアスを落としたときに画像付きで「こちら何かの部品でしょうか?〇〇で拾いました。」と掲示されたことがある。
ニップレスの掲示は会社で起こることとしては面白すぎてしまう。だめだ。絶対に耐えられないが、避けたい反面その日を楽しみにしてしまっている自分もいる。

今日も私はニップレスをぷるぷる貼り付けて出社している。

※ブラジャーが好きな人を否定する趣旨ではない。必要な人がいるのも分かるし、美しいと感じることもある。

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