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1-Eの住人より「透明な蝶」

私は透明な蝶を追いかけた
星空の見える窓から迷い込んだらしい
鍵はかかっていたはずなのに
不思議なことがあるものだ

侵入したものは全て受け入れる
蝶は確かに私の少し上を飛んでいた
どこかに行きたいのか
行きたくないのか 聞いてもわからない

鱗粉が鼻先をくすぐるので
何回もくしゃみが出た
さまざまな部屋を経由した
校舎には誰もいない いつも通り

同級生の靴を見つけた
よく見たら黴びたパンだった
それを手に持ってみると
透明な蝶が止まって何かを吸った

私は蝶が離れるのを待って
パンを思い切り放り投げた
廊下を数回バウンドして
何かに当たって止まった

透明な蝶ではない何かがいた
そんな気配がした
唸り声が聞こえて 蝶の方を見ると
蝶は不敵に笑っているようだった

透明な狼がこちらに向かって走ってきた
恐怖で動かない身体を必死に揺らした
透明な蝶が月光を取り込んで光り出した
初めて見たその姿は何よりも綺麗だ

透明な狼の気配が消えた
私は蝶にお礼を言って名前を聞いた
透明に戻った蝶は私の頭上を回った
鱗粉が降り注ぎ 私は凄く眠くなった

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