私は中学生の彼をマスターと呼んだ。
※アッシュテイルと関係無い内容が含まれます。
初期のプレイヤーでは無いが、かなり昔ラグナロクオンラインをプレイしていた。
将来転職する職業は、見た目がカッコイイという理由でアサシンを選んだ。そのアサシンに転職出来るレベルになるまでソロプレイしかしなかった。
ある程度操作にも慣れた所でギルドに入ってみようと思い、ゲーム内の大型都市近くでギルド募集をしている集団を見かけた事があるのでそこに向かったのだ。
ギルドに入る時、特にこだわりが無かったので初心者歓迎と募集に書いてあった人に話しかけた。
私「このゲームを始めてからずっとソロで、何も知らない初心者ですが、ギルドに入れていただけませんか?」
恐らくこんな感じに話しかけていたと思う。
募集主「いいよ」
言葉少なげに了承を頂いた記憶がある。
どうやら募集主がギルドのマスターで、新しくギルドを設立したばかりのようだった。
彼はローグという職で、いわゆる盗賊みたいに敵から盗む事が出来る職業だ。
マスター「こっちに来て」
彼はギルドに入ったばかりの私に、ついてくるように促した。
人が大勢いたその場から東に少し歩いた所、少し崖になっている場所、そこの草むらに案内された。
そこには、金髪の可愛らしい女性キャラが1人
ちょこんと座っていた。
職業ハイプリースト、いわゆるヒーラーの人だ。
どうやらギルドのメンバーで、マスターは私に紹介をしたいようだった。
プリさん「初めまして^ ^ これからよろしくね^ ^」
マスターと違い、可愛らしい顔文字で歓迎してくれたのを覚えている。
プリさんがギルド2番目のメンバーで、どうやら私は3人目のメンバーのようだった。
プリさんにも初心者である事を伝えたら、ラグナロクオンラインの文化を教えてくれた。
ギルドのメンバー同士、離れた場所でギルドチャットをするのでは無く、実際にキャラ同士が同じ場所に集まりチャットを行う、溜まり場というものがギルド毎にあるらしい。
我がギルドの溜まり場が、この崖の草むらであるとのこと。
それからというもの、口数の少ないぶっきらぼうなマスター、明るく口数の多いプリさん、下ネタを一切言わない私の3人のギルド生活が始まった。
MMO経験の浅かった私は、そんな奇妙な3人の組み合わせの会話が楽しかったし、3人でレベル上げに行ったり(主に私を手伝ってくれた)
殆ど毎日のように、仕事が終わってはログインしていたように記憶している。
だが、そんな楽しい日は突然のマスターの引退により脆くも崩れ去ったのである。
ある日いつものように溜まり場に行ったら、プリさんが初めて会ったあの時のように、1人でちょこんと溜まり場に座っていた。
あの日と違った事といえば、プリさんが上位職のアークビショップに転職している点だけであった。
私「マスターはまだ来てないのかな?」
プリさん「マスターは引退するそうです」
私「突然どうしたんですかね?」
プリさん「母親にゲームをやめろと言われたそうです」
私「え?」
正直いい大人が母親に言われてゲームをやめるって、どういう事だろうかと思った。
プリさん「実はマスターは中学生なんです」
私「マジで?!」
たしかにお風呂だから落ちるとか、ご飯だから落ちるだとか、時間がキッチリしてるなあとは思っていた。
プリさん「高校受験があるそうで…」
当時は中学生がパソコンでゲームをやるっていうのはかなり少数派で、まさかという出来事だった。
プリさんは他のフレンドのギルドに移籍するらしく、私も誘ってもらえたが何か一気に気が抜けてそのまま引退してしまった。
色々思い出すと、アレは中学生だったからか!と納得出来る伏線回収が出来た。
唐突な自分語りを書いている最中に思い出した事が一つあった。
私は下ネタこそ言わなかったが、プレイヤー名が
官能的や肉感的
を表すsensualという名前だった。
昔は知的なエロを目指していたのであった
(むっつりすけべ)
完
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