ナシゴレン間話

ひんやりとした床に寝転がりながら
スマホでナシゴレンを注文した

少し先のことを考えながら生きていくと
少し先の私はありがたく思うかもしれないが
少し先の私は少し先の私を手助けしているので
今日はなるたけ手を抜くよ
今の私は過去の私に助けられていない
未来の私は過去の私を助けられない
過去の私だけは今と未来の私を助けられる
でも今日はなるたけ手を抜くんだから
今の私も過去の私も今の私を責めないで
今にも過去にも見えないように
透明になって息をひそめる

手を抜くことは悪いことじゃないよ
過去の記憶の断片が悪いと言ってるのだから
過去の私も今の私も未来の私も
誰も私を責めていない
この便宜上3人の私は合わせ鏡の中の私のように
どこまでも連続した存在で独立した存在

過去の私が注文したナシゴレンが届く
今の私と
瞬間過去になった私が
ひとつのスプーンで
ひとつの皿から
ひとつの身体で味わう


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