日本最長の複々線が関東でなく関西である理由を地理的に考察。
緒言
日本最長の複々線は関西地区の東海道本線、山陽本線草津〜西明石となっている。
単純に考えるとより人口が多い関東でないのは少し意外な気がする。
しかし、地理的になことを考慮に入れると、もしかしたらこれが自然なことなのではないかと思えてくる。
それについて書いてみる。
面の関東、線の関西
地理的に考えて大きく違うのは平野の広さだ。
関東は関東平野というのが一都六県に跨って広がっていてとても広い。
そのため関東の都市は面状に広がっていると言っていい。
一方で関西は、大阪は大阪平野、姫路あたりが播磨平野、そして京都は京都盆地とそれぞれに分かれている。
神戸は狭いので名前すらつかない。
そしてそれぞれを結ぶ間も結構狭い。
京都〜大阪間だと天王山、大阪〜姫路だと神戸付近と間の平地が砂時計の真ん中のように大きく狭まった形になっている。
地形から生まれる線路の事情の違い
さて、そのような地理的状況は鉄道の事情にも影響を与える。
関東平野はとても広いので、鉄道も東京を中心にいろんな方向に伸びている。
そして広さのおかげでそれぞれの路線がカバーする範囲があまり被らなくなってる。
JR線も私鉄線もたくさんあるが、それぞれの路線が独自に守備範囲を持っているイメージになっている。
一方で関西はそうはいかない。
京都〜大阪間はあまり幅のないほぼ一本線であるから、JR、阪急、京阪がほぼ並走する形になっている。
特に先述の天王山のあたりではJRと阪急はかなり近接して走る。
大阪〜姫路も同様で、JR、阪急、阪神-山陽がほぼ並走している。
同じく地形的に狭い神戸(三ノ宮駅あたり)は特に近接していてほぼ同じところに駅を置く形になっている。
ということで、
関東ではJR、私鉄各線が四方八方に伸び、
関西では京阪神間でJR、私鉄各線ががっちり並走する、
というふうに全く違う路線網が形成されている。
複々線の長さに関して
ということで複々線の長さに関しての考察。
これに関してはJR線だけで見てみる。
関東では主要JR線だけでも東海道、中央、東北、常磐、総武と5方向ある。
いわゆる「通勤五方面作戦」に指定されていたものである。
ということで、もちろんそれぞれ混雑は激しいのだけれども、東京への輸送を5路線で分担できている、とも考えられる。
一方で関西。
こちらは関西の軸となる京阪神がほぼ幅がなく一直線に連なっている。
これに沿っているのは東海道、山陽本線の1路線だけということになる。
つまり関西の需要はこの1路線に集中するのだ。
そういうことで考えると、関西の東海道、山陽本線 草津〜西明石間が日本最長の複々線になるというのもうなずける話なのではないだろうか?
ついでに関西の競走の激しさについても
関西といえば、国鉄時代からJR vs 私鉄、あるいは私鉄同士の競合が激しいことで有名である。
またそこから、各社サービスの充実した列車を投入してきた歴史がある。
これについてもこれまでの考察から説明できると思う。
関東では先述の通り、広い関東平野の中で各路線がそれぞれの守備範囲を持っているイメージである。
それに対して関西は、京都〜大阪なら京都〜大阪、大阪〜神戸なら大阪〜神戸と各路線がほとんど同じところを結んでいてガッチリ競合することになる。
今回は詳しく書かなかったが、大阪〜和歌山だって大阪〜奈良だって通るところはほぼ同じなのでガッチリ競合することになる。
結果、サービス合戦をして乗客を取り合うことになってきたのだろうと考えられる。
まとめ
ということで、日本最長の複々線が関西にある理由、ついでに関西私鉄がサービス合戦を繰り広げる理由について地理的な事情から考察してみた考察してみた。
手前味噌になってしまうが、鉄道趣味というのはこのように地理的な知識を要求されることもあるし、ほかの目線から深く考える必要があることもあるなど本当に幅広い。
そして真面目に鉄道趣味をやると実用的な面だと学校の試験に役立つことがたくさんあるし、普段の生活でも見える世界が豊かになる。
ということで、みなさんも鉄道趣味の世界へ如何でしょうか?