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ただ好きなことを発信していたら、全国誌から原稿依頼がきた話
これは約12年ほど前、私がまだ総合病院で理学療法士として働いていた時の話です。
私は病院勤務時代、呼吸器疾患の患者さんのリハビリを専門としていました。
とにかく呼吸器疾患のリハビリが大好きでした。
大好きすぎて、病院の中で医師、看護師、臨床工学技士、栄養士などの多職種と交渉して、「呼吸サポートチーム(RST)」という呼吸器疾患の患者さんの診療を専門的にサポートするチームを自ら立ち上げるほどでした。
呼吸器疾患に関連する学会にも毎年のように演題登録して参加していました。
呼吸サポートチームで病院内の呼吸器疾患の診療の質を上げるための提案をしたり、職員向けの勉強会を開いたり、その成果を学会で発表したりと、今思い返しても「まさに青春」という感じで毎日とにかく充実していましたし、全てのエネルギーを注いでいたという感じです。
そのころ、個人的なブログもやっていたので、そのブログに「呼吸器疾患のリハビリが大好きで、色んなことをやっています」といった内容の記事を書いていました。
そのブログはアクセス数もそんなに多くなかったと思います。
ただただ好きで書いていたという感じです。
ブログ以外にも、Twitter(X)でも発信をしていました。
そんなある日、医学雑誌出版社の大手であるメディカ出版の編集者さんより、1通のメールが届きました。
「呼吸器ケアという医学雑誌に、呼吸サポートチームについての原稿を書いてもらえませんか?」と。
それを見た瞬間、「うそっ!!!」と思いました。
身体中から鳥肌が立ちました。
すぐには信じられませんでしたが、本当でした。
その編集者さんは、私が学会で発表した時の抄録も見てくれていて、それで連絡を下さったとのことでした。
「呼吸器ケア(現レスピカ)」といえば、呼吸の分野では知らない人はいないぐらいの有名な医学雑誌です。
私も毎月欠かさず見ていた雑誌でした。
その雑誌から原稿執筆の依頼があるなんて、夢のような話でした。
私は呼吸器疾患のリハビリを得意としてはいましたが、私よりすごい先生は世の中にゴロゴロいるし、「なんで自分なんかに依頼してくださったの?」という気持ちもありました。
私のとりえといえば、ただただ呼吸器疾患のリハビリが大好きということと、その大好きさをブログやTwitterで発信していたということ。
「この私の地道な活動と情報発信を見てくださっていた方がいたんだ」ということにとにかく感動しました。
もちろん、私はその依頼をありがたくお受けし、全国誌に私の活動が掲載されることになりました。
その後、その編集者さんからは再び原稿執筆を依頼していただき、別の特集で3回ほど掲載していただきました。
また、そんな私の活動を見てくださっていたかどうかは分かりませんが、私が理学療法士の中で一番尊敬する有名な先生から、「人工呼吸器装着中のリハビリについてのエビデンスの記事を書いて欲しい」と依頼が入りました。
この依頼が来たときも、全身から鳥肌でした。
この依頼文書を見たときの状況は、今でも鮮明に記憶しています。
こうした一連の原稿執筆依頼をお受けした経験から痛感したことは、
「ナンバーワンじゃなくていいんだ。」ということです。
呼吸器疾患のリハビリの権威と呼ばれる高名な先生方は世の中にたくさんいらっしゃいます。
でも、そんな中で地方の一理学療法士である私に依頼をくださった。
それは、私が呼吸器疾患のリハビリがとにかく好きだという熱意があったことと、それをブログやTwitterで情報発信していたということがきっかけになっていたのだと思います。
私がブログやTwitterで発信していなかったら、きっと誰の目にもとまらずに終わっていたかもしれません。
でも、誰も見てはくれないだろうと思いつつも、ただただ好きという気持ちで情報発信していたら、それを見てくれていた人がいたのです。
このnoteも、情報発信をする人と、それを見る人とを結びつける素晴らしい場所だと思います。
だから私はこうしてnoteでの情報発信を続けています。
ナンバーワンじゃなくていい。
ただ、大好きな気持ちで大好きなことを発信していれば、それが素晴らしいコンテンツになる。
文章にこもった熱は、文字を通じて多くの人に伝播していく力を秘めているのだと思います。
だから、文章には「自分の熱を込める」ことがとにかく大切。
どこかの文章術の本から持ってきたテンプレではなく、自分の内面から出たオリジナルの言葉が大事。
文章のスキルは一流じゃなくても、下手な文章でもいい。
熱がこもった文章は、やはりそれだけ発するエネルギーも強い。
だから、「自分なんてどうせ文章が下手だから、読んでくれる人なんていないだろう。」なんて考えて発信をあきらめずに、とにかく自分が好きなことを発信して欲しい。
きっと見てくれている人はいる。
私は自分の経験から、そう思っています。
ここまでお読みいただいて、どうもありがとうございました。
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