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Netflixで「五福の娘たち」にドはまり(ネタバレなし)

あまり、華流ドラマに力を入れているとは思えないNetflixだが、現在配信中の中国ドラマ「五福の娘たち」は面白くてついハマってみてしまった。

物語は、北宋の時代。洛陽の地主だった夫と一人息子に早くに先立たれた未亡人と5人の娘たちが主人公。親族との相続争いから、「酈家の六虎」とも恐れられた彼女たちは、次女の嫁ぎ先もある汴京(河南省開封の古称)に移り住み、婿探しを決意する。新しい土地で、商売をはじめ、娘たちの良縁を探そうと奮闘するのだが・・・。

では、どこがそんなに面白かったのか?その見どころを3つ挙げると、

1.凝った舞台装置にスピード感のある演出

中国時代劇でいういわゆる「お屋敷もの」で、それもそこそこ裕福な地主一家が都に出て茶屋を経営するというお話しがベースになっているので、舞台装置も凝っているし、衣装も美しい。紹介される料理も御菓子も美味しそう。OSTも歌詞は漢詩だし、琴の音色もいい感じ。

ドラマは、娘たちそれぞれが、良縁を求めての「婿探し」に奮闘するわけだが、ストーリーはカップルごとにスポットが当たりそれぞれがつながっていく展開がされていく。
「婿探し」、いわゆるシンデレラストーリーか、とみせかけて、「恋愛」と「結婚」の両立はそう甘いものではない、「持参金」や「逆玉婚」など結婚の闇も描かれている。
なかでも「再婚」に関しては寛容な描き方だが、「一夫多妻制」については、しっかり異議申し立てをしているところが面白かった。このあたりは、中国ドラマファンが多いASEAN諸国の女性視聴者を意識しているのだろうか?私の勝手な解釈だが。
また、ドラマに登場する母親像や母娘の関係はカリカチュアされている点に違和感を覚えた。
ドラマは全体的に、脚本、演出、プロデューサーの男目線が反映しているような気もしたが、逆にそこが、韓国や日本のラブコメを見慣れた私にはちょっと新鮮で面白かった。

2.欠点が多すぎる男性主人公たちの著しい成長ぶり

 婿選びがテーマのドラマだが、男性主人公たちは、ちょっとその男はやめておいた方がいいんじゃないのという、「王子様」感がまるでなく、欠点も多い曲者ぞろいのキャラクターばかりで、ロマンスドラマによくある「そんな男いないよ」という感じでなく、リアリティがあって面白い。
しかし、最初は「オレ様男」で「出会いは最悪」のパターンでも、恋をすることで成長していく姿に、思わず魅せられてしまう。男性主人公の内面の成長の方がヒロインの成長をはるかに上回っているあたりが、このドラマの面白さにつながっている。

そんな思わず感情移入したくなる婿殿たちだが、演じるのは、まさに次世代ライジングスターぞろい。
かくいうわたしも、はじめて、名前を聞く俳優ばかりだが、みな、超難関校の中央戯劇学院北京電影学院の卒業生らしい。若いけれど、確かな演技力で、今後の活躍が楽しみだ。

メイキング見ると、王星越や梁永棋のテンションが高いのにびっくり。まあ、若いからね。

3.カップルのケミストリーが素晴らしい

ロマンスドラマは、カップル同士のケミストリーがイイかどうかが、ポイントだけど、5組とも本当にお似合いの組み合わせばかり。

特にヒロインは、みな美しく、明るくポジティブで、自信家だが、演じる女優陣も、その古衣装や髪型や髪飾りで、可愛さが2割増しという気がする。
私の推しは、三女カップル(ワン・シンユエとルー・ユ―シァオ)4女カップル(リアン・ヨンチーとコー・イン)だけど、ほかのカップルのドラマも良かった。

ドラマの始まりは、今中国でブレイク中の二人を三女カップルにして、ガツンと視聴者を惹きつけ、中盤に、演技派どうしの四女カップルを持ってきて中だるみさせない構成になっている。そのあたりは、最初のカップルは良かったけれどだんだんと尻つぼみになっていった「ブリジャードン家」シリーズに比べると、企画力が冴えわたっていた。中国ドラマ制作陣の戦略と戦術に脱帽だ。

いや、中国ドラマって面白いじゃない、と、勢いで他の中国ドラマをあさってみたけれど、どれも今ひとつで2~3話で挫折してしまった。

やっぱり、Netflix、さすがだな。


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松幸 けい
最期まで読んでくださってありがとうございます。誰かに読んでもらえるなんて、それだけで嬉しいです。もし、気に入っていただけたら、スキしていただければもちろんもっと嬉しいです。よろしくお願いします。