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特集②「疾走する女優ソン・イェジン」~ヒロインは瞬足でなければならない

 ソン・イェジンは、メロドラマの名シーンで、なぜかいつも走っている。それも、思いっきり、全力で走っている、ように見える。

 母と娘の一人二役を演じている映画「ラブストーリー」では、母役では、朝鮮戦争に徴兵される恋人の乗る走り出した列車を追いかけて走る。
 娘の役では、雨の中を、憧れの先輩と一緒に走る。(タイトル写真がそれ。OSTにぴったり合ってるこのシーンはオマージュとしてよく使われている)このあと実は、先輩は自分のことが好きなのだとわかって、今度はひとりで雨の中、全身で喜びを表して走る。それは、ソン・イェジンが「国民の初恋」となった記念すべきシーンといえる。
 
 ユン・ソクホ監督のドラマ「夏の香り」では、フローリスト役で大きな植木鉢を持って走る。心臓移植手術を受けているというのにである。
 さらに、ウエディングドレス姿で、車道にでて車も追いかけ走る。

 映画「四月の雪」では、夫が不倫相手と交通事故にあい意識不明の状況で、自分もその不倫相手の女性の夫と惹かれ合ってしまうという絶望的な状況の中でも、冬の夜に、漢江のほとりをその人と二人で走る。

「パンヌナ」では、マンションの階段を駆け下りて若い恋人と一緒に走る。

そして、ご存じ、「愛の不時着」では、
 北朝鮮の非武装地帯(DMZ)を、
 ソウルの高層ビルの地下駐車場を、
 そして、北朝鮮と韓国の国境でも、 ひたすら走っている。

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 これには、思わず「なぜ、走るのか、愛としか答えられない」という歌のフレーズまで思い出されてしまう。

 もちろん、走るシーンも愛情表現の演出のうちだけれど、韓国メロドラマにおいて、ここまでうまく走りながら演技できる女優をわたしは知らない。

 監督も、脚本家も、演出家も、なぜそんなに彼女を走らせたがるのか。
走らなくてもいいような状況で、無理な展開に見えるときもなくはないが、それでも、それらのシーンはストーリーの盛り上がりには欠かせない名シーンになっている。

 ソン・イェジンは、愛に向かって、「疾走…全力で走る姿」というのが似合う女優なのだと思う。
 ハリウッド進出映画となる「クロス」でも、彼女の走る姿が見られるのだろうか。

 走れ! 風のように! ソン・イェジン!!


 


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松幸 けい
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