不惑の韓流女優シリーズ⑪ハン・ジミン~抜群の好感度は2番手の強みか~
わたしは、ハン・ジミンは、例えていうなら、平昌オリンピックのマススタートで金メダルを獲得した高木菜那選手のような女優だなと思うのです。
高木菜那選手は、マススタートでずっと2位につけながら、最後にトップに躍り出て金メダルを獲得しました。妹の高木美帆選手とともに、女子団体パシュートでも金メダルをを獲得しています。
あの、2番手につけながら、いざというときに勝負にでるあたりが、ハン・ジミンにはあるのではないかと勝手に思っているのです。
ハン・ジミン 1982年生まれ
女優デビュー作は、「オール・イン」で、ソン・ヘギョの少女時代の役でした。ソン・ヘギョより1歳年下なだけで、少女時代の役とは?という感じもしますが、不自然に見えないのは、それだけハン・ジミンが童顔でピュアな感じがするからだと思います。
また、当時は演技力のほうも初々しかった?ので、ソン・ヘギョとしても、「秋の童話」のときのように少女時代を演じたムン・グギョンと比べられて云々というような批判もされずに済みました。
しかし、いくら童顔でも、子役ではありませんから、ヒロイン役がまわってきます。わたしが、彼女を最初に意識したのがこのドラマ「復活」(2005)です。面白いドラマでしたが、あの「わたしの名前はキム・サムスン」と同時間帯ということもあり、視聴率は振るいませんでしたが、名作だと思います。このドラマについては田代親世さんが「ほぼ3分でわかる韓国ドラマ」で解説なさっているので、それをここに貼っておきます。
このヒロイン役(主人公の義理の妹)が、ハン・ジミンですが、解説ボードに名前が出ていません。つまり、ヒロインにはなったものの、やはり男性主人公を引き立てる2番手の役回りだったのです。
しかし、このような男性主人公がメインのドラマの、いわば2番手としてのヒロイン役(いわばお姫様役)というのは、総じて、非の打ちどころのない、善女ばかりですから、それを演じる女優の好感度は否が応でも上がっていくという美味しい役どころなわけです。
けれども、主人公を引き立てるヒロイン役を上手く演じるのは、案外むずかしいのではないかと思います。出すぎてもダメだし、かといって目立たなくてもダメなわけで、セクシー過ぎてもダメでですが、女性的な魅力がなくてもダメなのです。
ハン・ジミンのピュアで清純な姿は、そんなヒロインにぴったりでした。
これがもろにドラマで主演をはるとなると、多様な側面を持った人間を描くわけなので、善女とばかりはいきませんし、逆に女優の個性が良くも悪くも強いぐらいじゃないとドラマの顔にはならないわけです。
好感度をとるか、一筋縄ではいかない女性を演じられる女優を目指すかは、そのへんの兼ね合いが難しいところであります。
そして、ハン・ジミンは、2番手のヒロインの強みを生かして抜群の好感度女優となりましたが、それだけでは、満足しないところが、彼女の本当の強みなのではないでしょうか。
日本でもリメイクされた「知ってるワイフ」(2018)ですが、このドラマのハン・ジミンと広瀬アリスを比べるとよくわかると思います。
鬼嫁のときと、独身のワーキングウーマンとを演じ分けるギャップの振幅が、全然違います。男性主人公の演技派のチソンと堂々と渡り合い、着々と演技力をつけてきたのを、あらためて見せてくれるドラマとなりました。
その後、ドラマ「ある春の夜に」や、映画「ミス・ペク」では、数々の演技賞を受賞しました。ソン・ヘギョの2番手だったのは、はるか昔のこととなり、今では、韓国ドラマでも映画でも抜群の存在感をもつようになったハン・ジミン、やっぱり女の人生はこうでなくっちゃね。
そんなハン・ジミンが見れる、わたしのオススメはこのドラマ「まぶしくてー私たちの輝く時間ー」です。ストーリー展開も、今までの韓国ドラマにはない斬新なもので、ネタバレになるから書きませんが、こんな描き方もあったのだと驚かされました。
このドラマで、ハン・ジミンは、「国民の母」といわれる大女優キム・へジャとダブル主演を果たしています。脇役陣も名優ぞろいの中、しかし、あいかわらずの誰にでも愛される好感度の高い彼女の存在は、共演者の演技を引き立てながらも、主演としてのオーラを放っていたのでした。