【番外編】伊藤計劃クソパロ集

 先に断じておくが、以下の引用リストに深い意味はない。無論、やろうと思えば「深い意味」な「考察」を発見できるだろう。しかしそれは、決して私の守備範囲ではない。
 では、なぜ公開するのか? この手のお遊びは、下らないがゆえにかえって失われ易いからだ。決して深い意味など見出すことなく、「こんな小ネタがあったのか」位に察して頂ければ幸いだ。

 ※以下には未刊行作品も含まれている。この手の元ネタは月日とともに分かりにくくなっていくため、予めの情報公開を優先した。

 ※なお全てのネタを追いきれている訳ではない。気づいた方はコメントして貰えると幸いだ。


   ・デビュー前

 世は去り世は来る 地は永久に長存なり

短編『海と孤島』(1996年)冒頭

 全く同一箇所の引用がアーネスト・ヘミンウェイ『日はまた昇る』冒頭に存在。

「僕は欠陥だらけの人間~獣のように」

   漫画『CUBE AUTHOR』(1998年)

 ナイン・インチ・ネイルズのCDアルバム『The Downward Spiral』収録曲、『Closer』からの部分引用。

   ・漫画デビュー後

『ネイキッド』(1999年10月頃)

 唯一と言っていいまともな元ネタ。筋立てでは『ファイト・クラブ』を、命名では『プリズナーNo.6』を下敷きとしている。なお発表時点では映画版『ファイト・クラブ』は日本公開されていないため、1999年2月に発売されたチャック・パラニュークの原作を参照したと推測される。

  ・小説デビュー後

 いつかウィリアムズが、面白い小説はないか、 と訊いたことがあった。 手持ちの小説は全部読んじまった、と。 どういうのがお好みですか、とアレックスが訊きかえすと、そうだな、 エンターテインメント がいい、とウィリアムズは答えた。セックス、ドラッグ、バイオレンスだ。 するとアレックスは笑って聖書を差し出したのだった。

『虐殺器官』(2007年)

 アンディ・マクナブ『SAS戦闘員 最強の対テロ・特殊部隊の極秘記録』から。シーンほぼそのまま。

「好きとか嫌いとか~」

『虐殺器官』(2007年)

 ゲーム『ときめきメモリアル』のOPテーマ『ときめき』歌詞より。歌い出しがあまりに有名。

 感謝を捧げます――

   『虐殺器官』(2007年)謝辞

 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』の謝辞冒頭「感謝を捧げます――」と同一。 ※文庫『ニューロマンサー』新装版の刊行前。

「まだ月曜日なのに~機嫌悪くなったのどうしてくれるんだよ」

   『The Indifference Engine』(2007年)

 TVアニメ版『らき☆すた』のOPテーマ『もってけ! セーラーふく』歌詞より。短編の発表はTVシリーズ放送後、大いに人気を博していた頃。

 『ハーモニー』各章タイトル

 ナイン・インチ・ネイルズの各CDアルバム、『The Downward Spiral』『The Fragile』『Year Zero』からの変形引用。『The Downward~』は10年前の漫画『CUBE AUTHOR』でも引用しており、思い入れが伺える。

「ただの人間に興味は~」

   『ハーモニー』(2008年)

 谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』より、涼宮ハルヒの台詞。2006年のTVアニメ第一期は爆発的なヒットを記録、制作元である京都アニメーションの名を広く知らしめた。

 好き好き大好き超愛してる裏返しのワガママだとか冷淡さだとか~

   『ハーモニー』(2008年)

 舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』(2004年)から。芥川賞候補に上がり、受賞こそ逃すも毀誉褒貶を浴び話題になった。

※確認中 『ハーモニー』
 『パトレイバー2』での荒川とのドライブ

「何とかせにゃならんだろ」

『ハーモニー』(2008年)

 戸田奈津子の字幕パロディ。

「感謝を捧げます――」

『ハーモニー』(2008年)謝辞

 『虐殺器官』と同一。同項を参照のこと。

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