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「わからないことがわからない」からの学び直し

はじめに

私は2024年4月に開設された、京都芸術大学の食文化デザインコースで学んでいます。通信教育部(完全オンライン講座)のため、拠点は千葉のままです。フードイラストレーターとしての活動を持続させるために食文化についてより深く理解したいと思い、学び直しを決意しました。

ただ、いざ学び始めてみると、自分が「学ぶ経験」そのものに乏しかったことに気づきました。歴史や科学の基礎知識が不足していたり、論理的に考えて文章を書くことに慣れていなかったり。学び直しの中で感じたことは、決して「ただ知識を増やす」だけではなく、「知ることの楽しさを取り戻す」過程でもありました。

そんな私に、これから入学を検討している方がインタビューをしてくれる機会がありました。学び直しを考えている方や、食文化デザインコースに興味がある方の参考になればと思い、その内容をこの記事にまとめます。



—— 今日は、京都芸術大学 食文化デザインコースの一期生として学んでいる松野さんにお話を伺います。まず、このコースに入学した理由を教えてください。

松野: もともとフリーランスのフードイラストレーターとして活動していたのですが、絵を描くうえで食文化に関する理解を深めたいと思ったことがきっかけです。ただ、学び始めてすぐに気づいたのは、「そもそも学んだ経験が少なすぎる」ということでした。私は美術の授業が多い高校に進み、短大もデザイン系だったので、いわゆる一般教養を深く学ぶ機会が少なかったんです。

—— 具体的に「学ぶ経験がない」とはどういう意味ですか?

松野:  例えば、「大航海時代で何が起きたのか」「産業革命の影響は」など、基本的な歴史の流れを理解していませんでした。科学に関しても、記号の読み方さえ知らないことがありました。さらに、レポートの書き方もわからず、論理的に考えることに慣れていなかったんです。

—— そうした不安は、入学前から感じていたのでしょうか?

松野:  いえ、正直なところ「自分が何を知らないのか」がわかっていなかったんです。日常会話の中で、話がかみ合わなかったり、相手の言っていることの背景が理解できなかったりすることがありました。でも、なんとなくやり過ごしたままにしていました。30代半ばを過ぎてから、そうした場面で「私は根本的に学習経験が足りていないのでは?」と強く感じるようになったんです。

—— 学び直しを始めて、どのような変化がありましたか?

松野:  まず、「わからないことがわからない」という状態から抜け出す糸口を見つけられたのが大きいです。大学の課題を通じて、知識が曖昧なまま過ごしてきたことを自覚し、図書館で子ども向けの本を読むところから始めました。大人ぶらずに学び直すことで知識欲が刺激され、楽しく学べるようになりました。

—— 食文化デザインコースでは、どのような学びが得られていますか?

松野:  私にとって最も大きかったのは、「食」に関することが単なる嗜好やこだわりの話ではなく、社会や環境、歴史と深く結びついていると知ったことです。以前は「環境に配慮した暮らし」と聞くと、「ていねいに生きる意識の高い方々」の話のように感じていました。でも、学ぶことでそれが一部の人の価値観ではなく、私たち全員に関わる重要なテーマであることがわかってきました。

—— フードイラストレーターとして、「おいしさを描くとは何を描くことなのか」を探求する際に、どのような影響がありましたか?

松野: これまで私は「おいしさ」をシズル感や質感の描写だけで記号的に表現することに、漠然とした疑問を感じつつありました。しかし、「それだけじゃないはず」と思いながら、どのように表現をアップデートすべきかは考えられませんでした。
食文化デザインを学ぶことで、「おいしさ」は単に視覚的な要素だけでなく、食材の背景や歴史、調理方法、さらには文化的な文脈と密接に結びついていることを実感しました。
例えば、郷土料理にその地域の風土や人々の生活が反映されていることを知ると、それを踏まえてより深みのある表現ができるようになると考えられます。今後の作品展開にも少なからず影響があるはずです。

—— これから入学を考えている人に、どんなアドバイスがありますか?

松野:  「学び直しをしたいけれど、自分にできるだろうか」と不安に思っている人もいるかもしれません。でも、学ぶことで世界の見え方が変わるのは、とても面白い体験です。ただ、向き不向きはあると思いますので、大学から発信されているキラキラした情報だけでなく、実際に学んでいる学生から直接話を聞いて判断してほしいです。私は「食」を通じて小学生レベルから学び直し、地域からの六次産業化やガストロノミーツーリズム、最新のフードテックや食の社会課題等に関心を持つようになりました。卒業を目指さずに1年間学んでみるだけでも、かなり楽しいと思います。もし興味があるなら、ぜひ挑戦してみてほしいですね。

—— 今日は貴重なお話をありがとうございました!



おわりに

このインタビューを通じて、自分がどのように学び直しを進め、どんな気づきを得たのかを改めて整理することができました。

私は「おいしさを描くとは何を描くことなのか」を探求していますが、食文化を学ぶことで、それは単なる視覚的な表現ではなく、歴史や風土、人々の暮らしと深く結びついていることを実感しました。学ぶことで「おいしさ」の捉え方が広がり、フードイラストレーターとしての表現の幅を広げていくことができると感じています。

大人になってからの学び直しに興味がある方へ、私の経験が少しでも参考になれば嬉しいです。

2025年も引き続き勉強を続けます。
勉強が活かせるような仕事もしたいです。

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松野美穂|絵を描くAdobe Community Expert
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