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地元に聖地が欲しかったヤツに与えられた、「がんばっていきまっしょい」という映画。

勝手に聖地巡礼マップを作り、宣伝するヤツ。

現在「がんばっていきまっしょい」という映画が公開されている。
私はそのPVに衝撃を受け、頼まれてもいないのに「勝手に聖地巡礼マップを作り、推し作品として勝手に宣伝」をしている。
この記事は「がんばっていきまっしょいという映画を与えられた結果、自分の地元が舞台であるということ、感動を共有したい作品なので推して宣伝している。」とまとめられる内容を、細かく分解し語ったものである。

なぜ必死に宣伝するのか、その熱量はどこからくるのか。マップやスライド作成の話(ほぼ自分語り)もまとめたので、今後何かの聖地巡礼マップを作ろうとしている人や、興味がある人だけ読むようにしてほしい。
4000文字を超えるので時間を無駄にしないように。言いましたからね。


「地元にも聖地のアニメがあれば…」

アニメ「がんばっていきまっしょい」は愛媛県松山市を舞台とした映画である。
このタイトルはひと昔前に小説が出て、映画になり、ドラマになった作品。当時から松山市の認知度をあげるのにひと役買ってきた作品でもある。
この作品の映画化を知ったのは9月頃。
「自分でもタイトルは知っている。とうとう松山市がちゃんとしたアニメの聖地になるんだ!」とPVを見て心を躍らせた。ずっと地元が聖地のアニメがあればいいのに、と思っていたから。

「たまゆら」「竹原市」の衝撃

自分に「たまゆら」という作品が与えた影響は大きかった。鑑賞後、軽い気持ちで聖地を訪れた時の衝撃を今でも覚えている。
「初めての場所なのに見覚えがある!」
ストーリーを追っているうちに、知らず知らずにその土地を知った感覚になっていた。
竹原のあちこちに散りばめられる、たまゆらの作品の要素。地元の人に大事にされているのが伝わってきた。

聖地を追う度強くなる感情

それから度々訪問するようになった。
他の愛好家や地元民が特定した場所の情報を得ては、訪れ、主人公達の影を追った。「映像の中に入る」のは人類の1つの夢で、それを擬似体験できる聖地巡礼にハマっていった。
鎌倉のハナヤマタ、横須賀のはいふり、呉の艦これ。仕事の合間を縫っては聖地を訪れた。そうしていくうちに「俺の地元も負けず劣らず良い景色があるのに、なぜアニメの舞台になった事がないんだ。地元が盛り上がっている竹原や横須賀が羨ましい。」という感情が高まっていった。
しかし、環境や仕事の変化から地元に帰ることになる。ここから聖地巡礼に対する熱は下がり、アニメからもしばらく距離を置き始めた。

広島県竹原市で行われるイベント「憧憬の道」。「たまゆら」作中でも登場する。

約10年後に訪れた好機

それから約10年。たまたま流れてきた広告で、「がんばっていきまっしょい」がアニメ化する事を知った。実はずっと前から告知されていたらしい事を知ってショックを受けた。が、PVを見てすぐに気を取り直した。「早く聖地巡礼マップを作らないかん」「詳しい情報を提供して、多くの人に三津回ってもらわんと」

PVを見た翌日、情報取集のため撮影した画像。

再び燃える聖地巡礼と地元への思い

PVからの特定作業は想定より容易に進んだ。20年以上過ごした景色。今までの「日常」がそのまま背景だから、見れば脳内に場所が自然と浮かぶ。
映像で表現される三津の風景は、アニメ表現的に誇張されていようと思い出となぜか一致する。
「この景色を見逃して欲しくない、出た場所は徹底的に回ってもらいたい」
かつて、行きそびれた場所があっては後で悔しい思いをした経験。松山はアクセスがちょっと悪い。誰に聞いても「遠い」と言われる場所。同じ思いをして欲しくないという思いが、燃えて原動力となった。

先行上映を経てよぎった夢

愛媛での先行上映を鑑賞した。不足していた背景情報の補完。スライドの作り直し。各聖地を自分で歩き、撮影し、お店で飲食する。「自分で体験し発信」していった。
全国公開が始まる前に、スライドを完成させほぼ満足していた。それは先行上映を見て「この作品は多くの人に広がるぞ!」と確信していたから。
この映画が盛り上がれば、竹原市のように作品を愛する人が集まり、地元が盛り上がる。新しく来るであろう波がどうなるか想像もつかなかった。

突きつけられる現実

しかし、「現実」は容赦なく突きつけられる。色々な要素があれど、万人受けするのは難しい、という評価。「自分は関係者ではないから結果が出なくても平気」・・・とはならなかった。
閑散とした三津駅の姿と、がんばっていきまっしょいの姿。これがどうしても重なって見える。悔しい、関係者じゃないのに。この三津駅に人があふれる姿、それには作品の力を分けてもらわないといけない。

聖地のひとつ三津駅。駅から商店街は観光地を名乗るが閑散としている。

そして個人にできるコト

自分がプロモーターなら・・・、と色々想像したこともあったが、結局は何の関係もない個人である。デカい広告も打てない、リアルイベントなんてもってのほか。
自分ができることは「ポジティブな感想に対して反応する、自分で体験し発信する」ことを地道にしていくことだけ。
「興味がない人が映画館に行くように仕向ける」ことは自分では難しいと判断した。そこはプロの仕事だ。
であれば、見終わった人が「聖地巡礼をしてみたい!」という感想を持った時、自分がそれを後押ししていきたい、と決めた。事前にマップを作ったときは、大勢に注目してもらおうと考えて作ったが、そもそも聖地巡礼はメジャーな文化ではない。
それでも三津に来てもらうために。あの聖地巡礼で起きる衝撃と感動を味わってもらうために。発信を継続しようと考えた。

ソフトタイムを訪ねる

時系列は前後するが、先行上映終了後に「自分で体験し発信する」と決めた先鋒として、ソフトタイムに行くことを選んだ。近所にあるのを知っていたが、正直営業しているのかも知らない、その程度の認識のお店。地場のお店は常連の方が使うイメージがあり、余計に入りにくい。
が、覚悟を決めて入店した。その時に感じた感動。
(劇中とまんま同じやん!内装も借りてきたものやと思ってたのに!)
お店に入るときの緊張を完全に忘れ去り、三津浜焼きを完食した。ちなみに三津浜焼きを食べたのは4年ぶりくらいだろうか。観光資源は地元の人ほど消化しないものである。

珈琲館 赤煉瓦

ソフトタイムを訪ねた後日、赤煉瓦を訪ねた。ここも常連が多いとの情報を得ていたので、朝イチから並んでヒメと同じ席を確保しようとした。
この時の経験で「オーナーの都合で開店時間が変わる」「並んでいるときは隣のお店の時がある」「カウンターには常連が多い」などの情報を得ることができた。

「映画を見てこのお店に来た」というと奥様は驚いていたが、今ではその衝撃もだいぶ薄れ、そのような人たちを愛情をこめて「マニア」と呼ぶようになった。店に行ったら「映画を見てきました!」と是非伝えてあげてほしい。

珈琲館 赤煉瓦。もはや行きつけの店になってしまった。

MAPの作り直し

上映が始まる前の反応はそこまで大きくはなかった。先行上映、舞台挨拶を見た人のうち一部が反応をくれたに過ぎない。
そんな中でも、経路や時間に関する質問が多かった。
考えれば当たり前なのだが、観光には時間制限がある。自分みたいに明日行けばいいやとはならない。優しいMAPにするには場所を提示するだけでは不十分なのだ。「旅行は自分で計画を組むもの」という考えもあるが、気軽な気持ちで来てもらうには十分すぎる情報を出す必要を感じた。

作品を知ってもらいたいというゴール

さて、長々と書いたが、自分は「MAPを作り、公開し、その他の情報を発信する」事で、この作品に対する応援としている。
この映画では三津というのはあくまで舞台装置であり、映画の本質ではない。自分の地元愛がそのまま作品愛につながっている。
改めて、これは「声優が好きで映画を応援している」「原作が好きで応援している」ひとを敬遠することではない。
作品を知ってもらいたい、というゴールが同じである以上、協力できることはしていこう、という原動力になる。

がんばっていきまっしょいの輪

MAPを作るという活動は地味だし、恩恵を受ける人も少ない。
現地を図示して、解像度があがる人もいるがそれも一部。
それでも、フォロワーが増えたし、制作にかかわった方から反応をいただける機会もあった。ただMAPを作っただけなのに。
これはMAPの力ではなくて、「がんばっていきまっしょい」が持っている力で、その恩恵を受けたに過ぎない。
だが、この経験は大きな刺激であったし、交流の輪は大きく広がった。

過去の自分に、「「がんばっていきまっしょい」という作品のために、お前は方々に電話したり、現地訪ねて質問しまくるんだぞ」と伝えても信じてもらえないだろう。それを可能にしたのが「がんばっていきまっしょい」の輪だ。

がんばっていきまっしょいの可能性

「がんばっていきまっしょい」は、間違いなく広く知られるべき作品である。これは断言できる。
この作品がどのようにすれば興味を持ってもらえるか。自分が出した答えが「聖地巡礼情報を出す」ということであった。
今後同じような活動をする人に言えるのは「作品の可能性を信じて、自分の熱量を失わない」ということである。時に全く反応がなくて落ち込む。数字がすべてのSNSでは当然である。「この作品を応援しているのは俺一人なのでは?」と思うときがあっても、それでいい。ただ一人語り継ぐ人間になればいい。反響の大きさは愛の大きさではない。

今、「がんばっていきまっしょい」は苦しい状況にあるが、見たことで感動を覚える人は少しずつ増えている。
後ろ向きにならず、好きなものは好きと言い続けてほしい。聖地巡礼をして後悔を残す人がいなくなるように。そして衝撃を受ける人が増えるように。

「がんばっていきまっしょい」という映画は大勢が忘れたとしても、自分が地元民代表として大事にしていく。そういう気持ちを持たせてくれる映画である。


最後まで読んだ人へ

4000文字を超える駄文感想文、読破お疲れさまでした。要領を得ない所もあると思いますがご容赦ください。

がんばっていきまっしょいに人生をちょっと変えられました。誇張表現ではないのでちょっとです。映画館が嫌いな自分が3度も見た映画なので、間違いなく良い映画です。一人の愛好家・地元民として今後も勝手に宣伝、拡散していくのでよろしくお願いします。

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