宝石に変身した、蒼いあじさいのきみへ。

きみは美しかった。
ほんとうに、美しかった。

生きていた時も、死んでしまってからも。

生きていた時、きみは、お父さん、お母さん、兄弟、姉妹、子どもたちと一緒にいるように見えたよ。みんな同じような形、色、模様をしていた。ひとつひとつはシンプルな蒼い花。でも、それが重なり合うことで、全体としての美しさがより際立っていた。

でもね、その美しさが故に、君は死んでしまった。
「パチンッ!」

美しい花を探していた女性に見初められ、ハサミで切られたのだ。君は、痛かったのかな、それとも見つけてくれて嬉しかったのかな、どうなんだろう。

そして、ある時、君は変身を遂げた。

宝石のようだった。蒼い透明な宝石。プルンプルン動くそいつは、振動があるたびに、蒼い光を反射した。そして、そこにいる人間たちははしゃいだ。叫んだ。喜んだ。

最後に、きみはぼくたちの身体の一部になった。デザートとして、口を通り、喉を通り、エネルギーとして身体に吸収されていった。

蒼く美しかった元のきみを、もう見ることはできない。でも、きみはきみだけでは輝けなかった光を、死を迎えたことで解き放つことが出来た。本来、君がもっていた輝きだ。

きみは、もっと生きていたかった?それとも死んで変身できてよかった?どっちなの。きみはとっても美味しかったし、美しかった。でもこれは僕のエゴなのかな。それともきみはそれも喜んでくれてるの?

お願いだから、教えて。

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