コネなしポスドク就活記⑤ 現地面接の連絡を受けてから渡航まで編
僕は国内で博士号を取得し、現在は北欧でポスドクをしています。
コネなしで海外ポスドクの就活をした経験を記録に残しておこうと思います。
あくまで僕の体験であり、n=1での話であるということを記憶にとどめながら見ていただけると幸いです。また、僕の経験はヨーロッパ、とくに北欧に限ります。さらに言うと、生命科学系のウェット系の経験談です。他の地域、分野のことは詳しくないのであしからず。
前回はオンライン面接の時のことを紹介しました。ぜひこちらもご覧ください。
今回は、現地面接のオファーを貰ってから渡航までの体験談をシェアします。
現地面接のオファーをもらう
いくつかのオンライン面接を経て、2つのラボ (フィンランド、スイス) から現地面接のオファーを頂きました。
オファーのメールが届いたときは物凄く嬉しかったです。
現地面接のオファーは、PIのあなたに対する強い興味を意味します。
それだけで十分にポジティブです。
飛び跳ねて喜びましょう!
興味を持ってもらえて嬉しい気持ち
面接への用意ができていること
これらを含めてすぐに返事をしましょう!
連絡をもらった後は、日程や渡航費用の調整をするはずです。
どのように日程を組んだのか
渡航費用はどのように工面したのか
意識してよかったこと などを書いていこうと思います。
日程調整と渡航費用は要交渉
渡航先が複数の都市や国を含む場合、可能であれば連続した日程で回るのが好ましいと思います。
僕はオンライン面接時点でラボの具体名を挙げて応募先を示していたのでスムーズに日程調整ができました。
注) 候補者が複数のラボに応募していることに関して、採用側は織り込み済みなので正直に説明しましょう。
日本国内の事情には詳しくないのですが
ヨーロッパのラボでは面接にかかる費用は基本的にラボが負担してくれます。僕の場合には、フライト、ホテル、現地での交通機関、ラボメンバーとのごはんが含まれました。
1つのラボは全費用を工面、もう一つのラボは費用を折半すると言っていただきました。自分と2つのラボのPIやラボマネージャーと日程と費用の調整をしました。
その結果、面接に必要な日程の渡航、宿泊、移動に関する費用を2つのラボで全額負担していただけることになりました。
ポスドク就活を通して感じたことではあるのですが、
正直に自分の状況を説明し、協力を仰ぐことが成功のカギだと思います。
せっかくお互いに興味を持っているのですから、最大限サポートしていただくのが良いかと思います。
ついでに興味あるラボにもコンタクトする
もし日本国内に残る選択をするのであれば、コネクションがない限り欧米圏はアクセスしにくいですよね。
ディスカッションをしたい、あるいは設備を見学したいと思うようなラボが渡航先や近隣諸国にある場合、ぜひ訪問してみることをお勧めします!
また、近隣で国際学会が開催される場合は、その学会への参加も検討しても良いでしょう。
現地面接のオファーを貰ったら、興味あるラボへのコンタクトや学会のスケジュール確認を早めにしてみると良いでしょう。もちろん、これらのことは面接先にあらかじめ連絡しましょう。何かしらのサジェスチョンを頂けるはずです。
僕はフィンランド、スウェーデン、スイスの研究機関をはしごしてディスカッションをしに行きました。
面接で訪問した研究機関内の研究室や、同じ国にある異なる研究機関に行きました。
ただ、この場合もコネがありませんでした。そのため、
・日本国内でつてを探す
・面接先のラボにつてがないか尋ねる を試しました。
つてがなくても、なぜ興味があるかをメールすれば返事は案外返ってくるものです。一度はお断りされたラボにもこの方法を使ったところ、他での面接ついでに来るならとディスカッションすることができました笑
例えそれが30分程度の小話でも、話せるだけで楽しいと思います!
ラボ見学にしろ学会参加にしろ、刺激的な話が聴けると思いますし、今後のコネクションづくりにも有効なのではないでしょうか。
近隣の散策を日程に加える
渡航先は将来的に居住する可能性がある場所です。
人間だれしも365日24時間は研究室にこもることはできません。
渡航先がどんな場所なのか、住み心地は良さそうかは確認できることに越したことはないでしょう。
宿泊費が自腹になってでも1-2日は周辺エリアを見て回ることをお勧めします。
国や都市ごとに異なる事情があります。自分の目で見て感じることは一番信頼できると思います。
例) 慢性的な住宅不足、治安の悪化が顕著、実は自然が豊かなど
僕の場合、博士修了の時期も重なり卒業旅行モチベが上がっていた所だったので、プチ卒業旅行もしてしまおうと考えました。
繰り返しますが、観光にしろ街を見て回るにしろ、日程調整に影響することはすべて面接先に連絡相談しましょう。何より礼儀として当然ですが、もしかしたら良い案を提案してくれるかもしれません。
例) 居住エリアを一緒に見てくれる、居住に関しての不安を面接日に相談してくれるなど
結果的に
・研究機関周辺の居住区域の散策
・大学が提供する下宿の見学
・観光
・旧来の友人との再会
をすることができました。
面接で不採用になってしまっては元も子もないのですが
就活に重きを置きつつも、将来の生活に想像を膨らませたり、観光で息抜きをするのも良い選択だと思います。
意識してよかったこと
現地面接の機会はまたとないチャンスです。
一方、どう臨んでも面接は緊張しますしハードなものです。
そうなのであれば、できる限り充実した日程を過ごすのが良いと思います。
現地面接におさまらず、他のラボへの訪問や観光を考えることを強くお勧めします。
何よりも自分に正直になることだと思います。
・面接機会を頂けて嬉しい
・訪問先の研究設備が不安だ
・訪問先の居住が不安だ
・面接日程後に延泊したい
こういう気持ちは正直に (時に理屈をこねてでも) 訪問先のPIに表明するのが良いと思います。言うだけタダですし、後悔するよりはずっとマシだと思います。
その他、渡航全般に当たっては、パスポートの有効期限を確認する、面接に必要な荷造りをしっかりする、現地までのアクセスを確認するなど色々あるかと思います。もちろん、この点に関しては準備するに越したことはないでしょう。
今回は訪問先との渡航日程や費用面の調整にフォーカスをあてて体験をシェアしました。これらの交渉にはオープンなコミュニケーションが求められるという意味で重要な観点かと思い重点的に書いてみました。
現地面接までこぎつけられた際には、ぜひ自分の考えていることを正直かつ積極的に開示することを意識しながら渡航に臨むのが良いかと思います。訪問先の方々は色々なサジェスチョンをしてくれるでしょう。
礼儀は忘れず、素直な姿勢で臨めばきっと充実した渡航になると思います。
それでは。