特撮ヴィラン語り ~その220 ビースト・ザ・ワン~
「シン・ウルトラマン」大ヒットしておりますね。
私matthewも2回見ましたが、なんかもう色んな感情を揺り起こされて本当に名作という言葉に尽きる映画でした。何でしょうね、さんざん特撮見まくってるはずなのに全然色褪せないあの新鮮な驚き。特ヲタの予備知識を軽々と超えてくる素晴らしい奇跡体験。ホントヤバかったです。
さて、そんな「シン・ウルトラマン」の大ヒットで一緒にネットでクローズアップされたのが2004年公開の映画「ULTRAMAN」。実はこちらも初代ウルトラマンにオマージュを捧げ、その第1話を現代の世界観でやってみようというコンセプトで製作されたものでした。
同時にこちらは、時期を同じくしてTVで放送されていた「ウルトラマンネクサス」のエピソード0ともいえるストーリー。「ネクサス」と言えば土曜朝には相応しいと全く言えない陰鬱なホラーで語り草ですが、まあ作中の怪獣:スペースビーストもグロいのばっかでね。子供泣くよねっていう連中ばっかりだったんです。
そのグロいのの大本になったのが今回紹介するビースト・ザ・ワンです
ある日、太平洋沖に落下した青い未確認飛行物体を調査していた海上自衛隊の船が破壊される事故が発生。
ところがそれは事故ではなく、その飛行物体そのものの仕業。隊員の一人であった有働貴文はそこに宿っていたザ・ワンに体を乗っ取られ、徐々に異形の怪物に変貌を遂げていきます。
そのザ・ワンを追跡してきた赤い飛行体が、航空自衛隊のパイロット:真木舜一の乗るマシンと激突してしまい彼の命を救うべく同化、かくして誕生した巨人はザ・ネクストと呼ばれ、次々に姿を変えるザ・ワンとの激闘を繰り広げます。
このザ・ワンの変貌っぷりがね、怪物映画が好きな人はきっとたまらんと思うんです
最初は生身の人間の背中に角が突き出したような感じなんですが、そこから第2形態として人体模型が怪獣になったようなキモさの塊である「イドロビア」に変身。個人的にはここが一番怖かったと思います。
第3形態は地下に逃げ込んでヤモリやトカゲをたくさん吸収した影響により、怪獣っぽさが急に増した「レプティリア」。姿も大きくなりましたが、怖さはちょっと控えめ。まあでもトカゲやヤモリがわらわら来るのを次々取り込む様子はキモいですよね。
そして、いよいよ第4形態。今度は無数のドブネズミを取り込んで同化し、「ベルゼブア」という形態へパワーアップ。50mに巨大化したその肩口からはネズミの顔がそのまま突き出てます。何気に怖い。さらには周囲のカラスを取り込んで巨大な翼を生やした最終形態「ベルゼブア・コローネ」へ進化(画像)。新宿上空で完全体「ジュネッス」となったザ・ネクストとの激しい空中戦を展開するのでした。
トカゲにヤモリにネズミにカラス、気持ち悪いのオンパレードですね見事にね
初代ウルトラマンをオマージュした映画というだけあって、このザ・ワンのモチーフはウルトラマンと最初に戦った宇宙怪獣ベムラーです。
レプティリアは特にベムラーを意識したシルエットですが、ベルゼブア以降の形態も真っ黒な体色や大きく裂けた口にその名残が見え隠れしたり。個人的には狙い過ぎずちょうどいい塩梅なんじゃないかなあって思いますね。
そして、ザ・ネクストによって倒されたこのビースト・ザ・ワンの細胞の破片が、様々な生物などと融合することにより「ネクサス」本編に登場するスペースビーストへ変わっていく――という。
まあ大本がグロいんですから、そりゃそこから生まれるものがグロいのも当然でしょうね。しょうがない。うん、しょうがないんよ。
……でももうちょっとマイルドに出来なかったのかしら?
matthew