特撮ヴィラン語り ～その406 憑依宇宙人サーペント星人～

「ウルトラマンメビウス」の中でも屈指のギャグエピソードに数えられる「無敵のママ」。第39話というだいぶ終盤に差し掛かったタイミングで差し込まれた話でしたが、とにかく笑えました。

主役になるのは、防衛組織：CREW GUYSの社員食堂のおばちゃんであるサユリさん。
肝っ玉母ちゃんのサユリさんはその豪快な人柄から隊員たちにも好かれる優しい人だったのですが、ある日なんと交通事故に遭ってしまい、そのまま命を落としてしまいます――
かと思いきや、何とそこにこのサーペント星人が目をつけ肉体に憑依。サユリさんは奇跡的に蘇生を果たしますが、既にこの段階でサーペント星人の計画は始まっていたのでした。
その目的とはCRUE GUYSを内部から崩壊させること。GUYSの基地であるフェニックスネストに堂々と入り込むことに成功すると、サーペント星人はサユリの肉体を操って基地のメインシステムを破壊しようと暗躍を始めたのでした。

いや食堂のおばちゃんが食堂以外のところにいたらどう考えても不審がられるよ？
せめて戦闘に出られそうな人を選べなかったのかな？

もちろん、暗躍はすぐに見つかってしまいます。しかし相手はみんなからも親しまれる食堂のおばちゃん、GUYSの隊員たちが撃てるわけがありません。
実質的にサーペント星人にサユリさんを人質に取られたような状態で、万事休すのGUYSの面々――が、その時でした。

「かあちゃんは、絶対に……負けないぃいいいいいッ！！」

サユリさんの肝っ玉が何とサーペント星人の意識を逆に乗っ取り返してしまったのです。
サーペント星人によってもたらされた人間離れした戦闘能力をそのまま引き継いだサユリさんは、計画を狂わされ焦る星人たちをパワフルな格闘技でバッタバッタとなぎ倒し大暴れ。呆気に取られていたGUYSの面々もすぐに我に返り、星人たちを迎撃していきます。いやかあちゃん強っ。
状況の不利を悟った星人たちは何と一つに集まって合体、鎧を纏った騎士のような姿に巨大化して基地を破壊しようとします。
もちろんそこに駆け付けるはウルトラマンメビウス。しかしここでサーペント星人のもう一つの能力が猛威を振るいます。
その秘密は星人の肉体。実は鎧のような皮膚の内側は組織の90％が水で構成されたナメクジのような体をしており、あらゆる攻撃を受けても液体の体ゆえにすぐに再生してしまうのです。
が、サユリさんはサーペント星人に体を乗っ取られたが故にその秘密にも気付いていました。何せ憑依されてから水をとにかくがぶ飲みしまくる体質になり――そして味付けがおかしくなるほど塩味が苦手になっていたのです。ナメクジだけに。

「塩だ！塩をかけてやるんだ！」と、サユリさんの助言を受けて頭上から投下される大量の消火用塩化ナトリウム材。それによって再生能力を封じられたサーペント星人は、呆気なくメビウスによってみじん切りにされて葬られました。

……やっぱり憑依する相手は選んだほうがよかったと思うよ色んな意味で

matthew