――そして、幕間。
「全く、今回ばかりは肝が冷えたぜ。マジで街中血の海にするつもりかよ?」
「展開次第ではそうなってたかもね。ま、結果オーライってことでいいんじゃない?」
「よかねえだろ。巻き添えで俺まで殺す気か、シャレにならんぜ」
「退屈で死ぬよりはマシでしょ?」
「バカ言え。ギャラリー気取りで呑気に見てたら事故に巻き込まれて死にましたとか、どんだけ間抜けな最期だっての。死に方がどうのって問題じゃねえんだよ」
「贅沢ね、こんな血生臭い街にいて死に方を選ぼうなんて。いいご身分っていうか」
「まだまだ俺はステージを愉しみたいんだよ。死に方よりも生き方の話をしようぜ」
「同じことよ。退屈なまま生きるなんて私はまっぴらごめんだわ」
「ああそうかい。ま、次からは俺が巻き添えになる可能性はゼロで頼むぜ。関わりたい時は自分でケツを持つさ」
「善処するわ。とはいえ、もう次は始まってるんだけど」
「おいおい、まだ何か仕込んでたのか?『狂犬病兵』なんて厄ネタ引っ張り出すだけじゃ足りねえってことかよ」
「当たり前でしょ。時間は止まっちゃくれないの、やることはいっぱいあるんだから」
「忙しねえこって……で、今度は誰を使う気だ?」
「この街の情報全てを牛耳る女傑サンの、可愛い可愛い飼い犬ちゃん」
「マジかよ。そいつはまた面倒な」
「まあ多分あなたには何もお鉢は回って来ないわよ。安心してギャラリーに専念するといいわ、荊良サン」
「やれやれ……お前さんだけは絶対に敵に回したくねえと改めて思ったよ。とりあえずせいぜい客席で愉しませてもらうぜ、鴉栖(カラス)」
(了)
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