特撮ヴィラン語り ~その215 邪悪竜ターロン~
いかなる強力なヒーローでも、抗うことが難しい最大の難敵。それは――「運」です。
どんな強力な必殺技も、運悪く相手に命中しなければ意味はない。逆に避けたと思った攻撃が運悪く近くの何かにあたって爆発に巻き込まれるのも不運。
さらに厄介なのは、運勢には姿かたちが存在しないこと。つまり倒すことは絶対に出来ないのです。
そんな運を最大の味方につけた厄介な敵がいます。「轟轟戦隊ボウケンジャー」に登場した邪悪竜ターロン。劇中に複数登場する悪の軍団の中で、恐竜の遺伝子をベースにした生物兵器を主力とするジャリュウ一族に属するヴィランです。
最大の特徴は風水術。地脈に眠る地竜の力を取り込むべく生み出されたターロンは風水の知識に長けており、風水術によって運勢を固定することが出来るルーレット型のプレシャス(財宝のことを指します):風水羅盤・竜眼を手に入れることでさらにその能力がパワーアップ。自分の運勢を絶好調に固定したうえで、プレシャスを奪還しようとやって来たボウケンジャーのチーフであるボウケンレッド/明石暁の運勢を絶不調に固定します。
のっけから実力じゃなく運頼みって割とどうかと思うだろうけどまあそこは流してください
明石チーフは運勢なんか気にしないと豪語し、それ故最初は気にせず敵を探そうとしていたのですが、最初はせいぜい公園で遊んでいた子供のサッカーボールが頭に当たる程度の小さな不運だったのがだんだんエスカレートして、
やれ車に撥ねられそうになったり、
鉄骨が頭上に落ちて来そうになったり、
割とシャレにならない不運で命の危機に陥る羽目になります
いやもう不運のレベル越えてるで笑いどころじゃないって
これコントみたいに笑いたっぷりで演出されてたんですけど、実際マジでヤバいと思うんですよ。不運で片付けちゃダメだと思うの。
ボウケンジャーに変身して強化スーツをつけることで何とか命は助かったんですが、その後も色々と不運が降りかかってしまうため、皮肉にも信じたくなかった占いによってどんどんチーフは追いつめられてしまいます。これじゃプレシャス奪還どころじゃない。
そこでメンバーたちがチーフのために取った作戦。それは――開運グッズをひたすら買ってつけさせる作戦。
開運麦わら帽子に幸運を呼ぶスカーフ、開運はっぴに厄除けブレスレット、そして開運しっぽ
胡散臭過ぎて全然アテにならねえんだがそれ
かくして、ボウケンレッドは仲間たちがくれた開運グッズを装着した「開運フォーム」となって戦列に復帰。ターロンへのリベンジに出ます。敵にすら笑われるレベルの超ださスタイルで。
しかしそれでも完全に不運を帳消しには出来ない。戦隊シリーズ恒例の名乗りからの謎爆破演出(後ろでドカーンってなるヤツね)――の火がはっぴに燃え移ります。
演出じゃなくて実害出てるじゃねえか
でもめげないレッド。
敵に向かって果敢にダッシュすると、今度はそばの崖から落ちてきた岩石が激突。でもめげない。みんなから受け取った開運グッズという絆を武器に、諦めないガッツで懸命に戦いを挑みます。
その結果、ターロンが放った電撃を――石に躓いた偶然で回避し、見事にプレシャスを奪還!運勢を逆転させてターロンを絶不調に、レッドを絶好調に変えて勝利を収めるのでした。
悪運で、勝った!!
てなわけで、仲間たちの絆で文字通り運を切り開いたボウケンジャーでした。
ただ、実は2021年の「機界戦隊ゼンカイジャー」にて同じように運勢を味方につけるオミクジワルドが出現。こっちは全員を不幸にしてしまったんで誰のサポートも受けられないというよりピンチな状況でした。
じゃあどうやってこの危機を切り抜けたのか。それは――
不運にオミクジワルドも巻き込んで一緒に犠牲になる
……むごい。むごすぎる。
matthew
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