特撮ヴィラン語り ~その267 高速宇宙人スラン星人~
近年のウルトラマンシリーズでは、昭和の作品に登場した怪獣や宇宙人が数多くリバイバルされて登場する機会が多いものの、なかなか平成に入ってからの作品のキャラは出てこない傾向が強くなっています。
平成最初の作品である「ウルトラマンティガ」をオマージュした2021年の「ウルトラマントリガー」以降からは徐々に「ティガ」の怪獣を筆頭に再登場するようになってきたんで、多分これからなんでしょうけどね。
そんな傾向の中で一つだけちょっと気になるヤツが、「ウルトラマンマックス」で初登場した高速宇宙人スラン星人。
なんかしれっと「マックス」代表格みたいによく後年の作品に出てきてるんだけど、こいつ1話しか出てないんですよね
恐らく虫をモチーフとした頭部や巨大な爪がついた両腕、スリムな体型など、バルタン星人を意識してデザインされたんかなという姿をしており、高速というだけあって残像を生み出すほどの超スピードで活動出来ます。
残像ってのも、分身を連想させる辺りバルタン星人から得た発想なんでしょうね。
ただしやり口の趣味は比べようもないほど性悪。滅亡した惑星から仲間と共に移住先を探して地球に来たバルタン星人に対し、スラン星人はというと、
とりあえず地球ってキレイだから俺が支配するわという軽い動機を、
「地球の人間たちは自然を汚すばかりで地球の害にしかならない」というもっともらしい理屈でごまかし、
追いつめられて巨大化すると自らそのキレイな地球を暴れて汚しまくるという本末転倒なゲスでした
……なんでお前が「マックス」代表なんだよ
というのも、2014年に制作された「劇場版ウルトラマンギンガS」で、それまでの平成ウルトラマンが総登場するにあたって各作品にちなんだ敵を再登場させることになったものの、「マックス」の怪獣たちはほとんどの着ぐるみが劣化して撮影に使えるモノがほとんどなかったそうなんです。
その結果、ボスクラスの強敵が並ぶラインナップの中に混じって、比較的状態がよかったスラン星人が「マックス」からの代表キャラとして登場を果たすことになりました。
分かりやすく言えば街で声かけられただけでいきなりジャニーズアイドルと一緒に武道館ライブやるようなもんですよ
とんだプレッシャーだよスラン星人肩身狭いわ
ともあれ、そうして着ぐるみの状態がよかったことからその後の作品でも頻繁にスラン星人登場の機会は増えます。
翌年の「ウルトラマンX」ではマックスに仲間が倒された屈辱を晴らすための罠を仕掛け、
2020年に配信された「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる野望」ではある惑星の調査にやって来たマックスを捕らえて怪獣化しようとするなど、
もうマックスへの嫌がらせしか頭にないんかというほどしつこく挑んできました。
ちょっと絡んだだけでここまでしつこく付きまとわれるって結構気持ち悪いですよねマックスからしたら
……あれ、なんか今回辛辣になりすぎてないか俺?
matthew