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特撮ヴィラン語り ~その443 守護神獣ザバンギ~

放映から55年以上が経っても、今なお人気の高い「ウルトラセブン」。
平成に入っても様々な続編が制作されており、それらは「平成ウルトラセブン」というシリーズでくくられております。

ただこれ、結構賛否両論がスゴいんです。
何が問題かと言うと、話が鬱展開過ぎたというもの。「地球人は本当に善なのか?」という疑問を呈した結果、なんと地球防衛軍が古代人:ノンマルトの一族を滅亡させたという過去の事実を隠蔽していたという衝撃の展開を迎え、ウルトラセブンがそんな地球人のために戦うことの正しささえもブレさせてしまったのです。そりゃ見てる人からしたらスッキリしませんよね
元々ノンマルトのエピソードについては「セブン」本編でもチラッと語られていたのですが、ここまで嫌な肉付けをしてしまったのはこの「平成セブン」での独自展開。

ただでさえ人を選びそうな高級肉にさらに高級な調味料をかけた結果、
もはや味が分からなくなったステーキとでもいいましょうか
まあ美味しいんだろうけどなかなかそれが万人には伝わらないという悲しさ

「平成セブン」に再び登場したノンマルトは、そんな防衛軍が隠蔽した事実をまとめたオメガファイルを宇宙全体へ公表するよう迫り、守護神であるザバンギを使って地上の侵攻に出ます。
実際この作中での地球防衛軍って、ぶっちゃけだいぶ悪いんですよ。フレンドシップ計画という作戦を秘密裏に進めており、その目的は何と他の惑星への武力攻撃。地球を侵略しに宇宙人がやってくる前に先手必勝だと片っ端から潰しに行くという、作戦名とは裏腹に友情もクソもない最悪の内容だったのです。

もはや地球人に感情移入すらしようがない視聴者のどん詰まり感

防衛軍の腐敗を悟ったウルトラ警備隊はセブンと共に、このような蛮行を許してはいけないとオメガファイルを公表させるべく上層部に反旗を翻します。その結果かつてセブンが共に戦ってきた地球人の仲間で、防衛軍の幹部となっていたソガが彼らを庇って死亡。やるせない結末を迎えつつもファイルは公表されますが、
なんとファイル公表のために電波を発信していたアンテナをザバンギが破壊します。
そう、ノンマルトはファイルを公開しようがすまいが最初から地球人を悪者として潰す気だったのです。

なんだこの泥沼バトル

もはや地球人もノンマルトもただの悪。最終的にセブンは自分の信じる正義が何なのか見失いながらも、それでも自分が交流を育み愛した地球人を守り、ザバンギと戦います。アイスラッガーで喉笛を切り裂き、返り血を浴びながら佇むセブン――
最終的に、セブンはこの一件で「宇宙の正義を守る立場を逸脱した」とされて遥か彼方の宇宙に幽閉されることになりました。

なんだこの鬱エンド

――とはいえご安心ください。一応、これは正史扱いではありません。「セブン」のTV本編から分かれた別時間軸の話ということに公式で位置づけられております。

さすがにこれを正史にしちゃうと、息子のウルトラマンゼロが浮かばれないよ


matthew

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