特撮ヴィラン語り ～その248 フェニックス/ユウゴ～

2022年は「仮面ライダーウィザード」放送から10周年ということもあって、どうやら公式の方で色々と企画を練っているみたいですね。
そういやスピンオフ的なモノが珍しく作られなかった作品ではあるので、もしかするとそういう作品を準備してるのかなーなんて思ったりもしますが。
そんな「ウィザード」において、物語前半のライバルキャラとしてウィザードを苦しめてきたのがこのフェニックス。実は結構好きな敵キャラなんですよね、コイツ。

元々、劇中における敵怪人：ファントムの目的はターゲットになった人間を絶望させることでその内に眠る魔力を解放させ、自分たちと同じファントムにして仲間を増やすことがメインです。
その中心的役割として他のファントムを先導してきた幹部の1体がこのフェニックスなんですが、実のところ彼自体はそんなにその目的について真面目ではないというか。それよりもひたすら強いヤツと戦いたい、暴れたいという欲求の方が強いタイプなんです。

…目的に忠実でないヤツが幹部ってもう組織的に危なくない？

普段はユウゴという青年の姿をしていますが、元々その姿のベースになった人間の青年：雄吾は花屋をしている温厚な性格。それとは真逆の凶暴なタイプであるフェニックスは、ウィザードが自分たちの計画の邪魔をしていることを知ると自らその前に現れ、頻繁に戦いを挑むようになります。
ウィザードの多彩な魔法、そして徐々に覚醒していく強力な姿の前に敗戦も増えていきますが、何と言ってもフェニックスの最大の能力はその名前が示す通りの不死。しかもそうして一度倒されて復活するたびにどんどん新しい能力を身につけて強くなっていくのです。つまり負け前提で戦っても全然損がない。

昔のゲームで「死んで攻略法を覚える」プレイってあったけど要はそれなんでしょうかね（例えそれかい）

ドでかい剣を振り回し、激しい炎をまき散らしながら暴れるフェニックス。だんだんとその凶暴さは他のファントムたちにも危険視され、あまりに敗戦が続いた結果フェニックスは実質的な謹慎を言い渡されます。
表立った行動にも出られず、どんどん鬱憤が溜まっていきつつも何も出来ない苛立ちが募るフェニックス/ユウゴ。するとある日、そんな彼の前に物語のヒロインの一人である女刑事：大門凛子が正体を知らずに現れます。
正義感の強い凛子はファントムによる数々の怪事件を捜査して来たものの、最終的には魔法使いである仮面ライダーウィザード/操真晴人の力を借りなきゃ解決できないという自分の無力さに苛立っており、皮肉なことに「やりたいことをしっかりできない」という共通の悩みから意気投合しちゃうんです。目の前にいるのがめちゃくちゃ厄介なファントムだとも知らずに。おかげで正体を明かしたフェニックスによって、ウィザードをおびき寄せるための人質にされてしまいます。

ゴメン、凛子ちゃんそういうところだわ多分

いやまあ魔法使いでも何でもない普通の人間がファントムに気付けるわけないんですけどね。まさかそいつと意気投合しちゃうかーと。もう視聴者側はきっと「ダメだって凛子ちゃんそいつに関わったら大変なことになってあーほら言わんこっちゃない！」ってハラハラしながら見てたんじゃないでしょうか。

最終的に、不死身のフェニックスを倒すための方法としてウィザードは渾身のライダーキックで太陽まで吹き飛ばし、何度再生してもすぐに全身を焼かれて死と再生を繰り返すという末路を迎えさせました。
しかしその人気故か未だに「太陽から戻って来たフェニックスがとんでもないパワーアップをしてウィザードに復讐してくるかもしれない」なんて妄想を巡らす特撮ファンも多いので、それはそれで見てみたいかもしれませんね。

matthew