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特撮ヴィラン語り ~その93 カオスバグ~

「ウルトラマンコスモス」から以前に劇場版の怪獣サンドロスを紹介しましたが、何故TV本編を外したかというと「明確に悪役と言えるキャラが少ないから」なんですよね。
あくまで「コスモス」に登場する怪獣って大半が何らかの理由で凶暴化しただけの巨大生物で、倒すのではなく保護する対象という形でウルトラマンやチームEYES(いわゆる防衛チーム)と戦うから、悪いやつではないし、敵とも呼べるわけではないんですよ。だからすっごく選定に悩んでしまって。
そんな中で、そういった「保護」という事情を離れて純粋に倒すべき相手としてTV本編で初めて登場した怪獣が、今回紹介するカオスバグです。

TV本編で主にコスモスが戦うメインの敵役として設定されていたのが、カオスヘッダーと呼ばれる光のウィルス。このウィルスが様々な怪獣に取りついて凶暴化させてしまうことから、コスモスは怪獣からカオスヘッダーを切り離して大人しくさせる必殺技:ルナエキストラクトを活用するわけなんですが、このカオスバグにはなんとルナエキストラクトが通じません!
そりゃそうです。こいつはカオスヘッダーが怪獣に取りついたわけでなく、カオスヘッダーが周囲の不法投棄されていたゴミなどを取り込んで生まれた怪獣。つまり生物じゃないわけですから。

何故蛍っぽい見た目なのかは特に深い理由はありません
蛍に取りついたとかでもないしね

とはいえ、蛍のような性質を持ってはいるんです。
最初は蛍みたいに小さな光のような状態で群れを成して行動し、熱源に群がって襲い掛かる習性を持ちます。そしてそのエネルギーを吸収してどんどん強化する性質もあったりします。
小さな山村に現れた小型のカオスバグの群れを退治しようとチームEYESが出撃、その飛行マシン:テックサンダーのビームを受けたことでビームの熱エネルギーを吸収し、急成長。その結果群れが合体してこのカオスバグが誕生したわけです。
何で蛍っぽい見た目なのかは本当によく分からないんですが、よく見ると首元の赤い部分が後ろから見た時にドクロの形になっているのがワンポイント。

この蛍、おしゃれとしてスカルファッションを取り入れてやがる…!(いや違う)

元々設定として、コスモスが躊躇なく倒しにかかれる相手を序盤のうちに出しておきたいというスタッフ間の想定はあったらしいんです。そうすると必然的に生き物ではなく無機物が相手でなければならない。
その結果としてゴミから生まれた無機物の怪獣がその役割を負うことになったわけです。そしてコスモスは敵を「倒す」ための力に特化したコロナモードの最強必殺技:ネイバスター光線を初めてTV本編で披露し、このカオスバグを倒します。ウルトラシリーズでは定番の腕を十字、あるいはL字に組んで放つ必殺光線ですね。
敵を明確に倒すケース自体が「コスモス」では少ないんで、必然的にこの必殺光線の披露機会もそんなにないんですよ。なのでどうもこのネイバスター光線、影が薄いんですよねー。他の必殺技のほうが代表的に扱われてるし。
しかしだからこそ、初めてその必殺技を喰らったカオスバグは自分の中ではかなり印象的でした。

というか、無機物が変化した怪人・怪獣って設定自体が元々個人的に好きなんですよ。
結構特撮作品ではよくあるパターンではあるけど、そのモチーフになる無機物っていうのが結構世相を反映してて、流行りものであったり風刺が取り入れられたりとその時代を象徴するものではあるんです。
「コスモス」の時はまさにごみの分別などが大きくニュースなどでクローズアップされ、山などに不法投棄される事件やその影響による環境汚染の報道も増え始めた時期だったので、その点への警鐘を鳴らす意図もあったのかもしれませんね。

ちなみに最近の流行りでいうと全然関係ないけど「魔進戦隊キラメイジャー」で、デジカメの怪人と連携する巨大怪獣ということでクラウドサービスがモチーフの個体が登場してます。

とうとう実体のないオンラインサービスまでモチーフになっちゃう時代ですよすごいね21世紀

matthew



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